2015年8月11日火曜日

胸を張って前を向け

これを書かねば自分自身へのけじめがつかないので、頑張って書いてみようと思ったけれど、部屋の時計はすでに0:00過ぎ。書くか書かぬか迷った末に見切り発車なんである。アクセス100越えだった今日、ブログ読者の期待に応えねばというプレッシャーもさることながら、自分自身のテンション、モチベーションも今のうちに、という思いもあるわけで。「鉄は熱いうちに打て」...なんである。

開会式は神宮で。その神宮に絶対戻って来るぞと個人的な信念を持って初戦を終えて、更に町田での2回戦はフレンズらしい投打の展開で快勝、本当にここへ戻ってこられた。チームの士気も高い。ここまで来たら絶対てっぺんを....と思うのは初出場チームの常なんであろうか。筆者や周りの大人たちの誰もがそう信じていた。しかし全国の壁は予想どうりとてつもなく厚かったのだった。

筆者はチームのコーチ兼スコアラーで名も無きいちブロガーである。父母たちが普段目にすることが出来ないアングル・シチュエーションでの写真を心がけているけれど、なかなかそうはいかないものだ、特にこんな全国大会での大舞台では。そこで例によって筆者の分身であるコピーロボットを起動しカメラを持たせて解き放った。ネット裏の記者席からちょっとだけ前試合の写真を活写す。観客席からでは味わえない迫力のある画になる。

スコアラーなんである。試合開始のコールからは写真は撮れない。さすがにコピーロボットも法令遵守の精神に違反することは出来ない。ならばせめて試合前の点景を。
ベンチと後ろの控室とのあいだの出入り口に母たちの千羽鶴を掲げる。緊張しいのナインたちの気持ちをほぐすために笑いを取ろうかと思った。控室から千羽鶴を居酒屋の暖簾(のれん)に見立ててくぐり、「オヤジ、まだやってるか?一杯呑ませてくれや」
実際はやってない。それほど神聖な張りつめた気持ちが自分やベンチを支配していたからだった。
写真左の千羽鶴ふたつ。紺と白のそれはフレンズのもの。そしてもうひとつは初戦に当たった滋賀県代表、物部少年野球団から頂いた、いや預かったものだった。

いよいよ時間が迫って来た。円陣を組んで新バージョンの儀式。声を高めて中心の主将Ruiが最後にジャンプするんである。


目線をベンチレベルで見ていると遠くの風景がゆらゆら画像が揺れている。そーなんである。いわゆる「逃げ水」。蜃気楼の一種で夏の風物詩でもある。地表付近の空気が熱せられて光の屈折率が変化し遠くに水があるように見えるアレなんであった。こんなに激しい逃げ水を見たのは久しぶりだった。黄色いラインやベンチが歪んで見えるのがそれ。
高円宮賜杯第35回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント、3回戦。
先発のマウンドは新潟代表「オール阿賀野ジュニア」のKatohくん。対する神奈川代表有馬フレンズはKyoh。

1表、先攻のオール阿賀野は先頭打者Saitohくんがいきなりの右翼線へのツーベースで出塁、3盗1死後、Sakagiくん四球、2盗でワンアウト2,3塁のフレンズ大ピンチ。打席には4番Katoh(秀)くん。痛烈な打球は瞬時にレフトの頭上を越えるタイムリーツーベースで2点先制。更に後続を三振に切ってとり2死とするも、6番打者の打撃で有馬フレンズの失策の間に走者が本塁帰還し、初回で3失点のフレンズ......。

1裏以降の有馬フレンズの攻撃、というよりオール阿賀野エースのKatohくんのピッチングは圧巻であった。身長163cmの長身から、独特のフォームで投球動作を溜めに溜めた状態からの一気の体重移動で投げ込む速球は、まるで定規で白い線を引いたように一直線を描いてキャッチャーミットに吸い込まれる。初球を見ただけでこれは一筋縄では打ち崩せないと思った。かと思えば時にスローボールを多投しフレンズ打線を幻惑。本格派速球投手にとって、ボールカウントによってはスローボールが有効に働くことはあるが、こんなにスローを多投するピッチャーは初めて見た。下位打線にとっては未知の領域かもしれない。2回までフレンズ打線は沈黙の戦艦。

3回フレンズの攻撃では2死後ながら3,4番のYui、Hajimeになんとか連打が出ていよいよフレンズらしい畳み掛ける猛打爆発を期待したが、走塁ミスなどで願いは叶わず。

延々膠着状態が続く。こんな展開も今まで経験済みだからいつかの逆転を信じていた。
最終回2死後からRuiが鬼気迫る気迫のヒットで出塁しBKで二塁へ、続くShohgoは四球を選び走者1,2塁で回ってきたのが神奈川の最強スラッガー、Yui。
ここまでのフレンズまたは彼を知る関係者ならば誰しも思ったはずだ。最終回2死からの一発出れば起死回生の同点劇。何度かそんな場面を見て来た筆者の頭の中では、ライトフェンスオーバーの打球が描く円弧まで勝手に見えていた。
しかし、Katohくんの右腕がそれを上回っていた。しなる右腕、唸りをあげて迫る速球、神宮に鳴り響くミットの捕球音。それまでの下位打線への投球とは打って変わって、1番Ruiからはいきなりスイッチが入ていた。百球前後を投げてもなお、まだ衰えを知らぬパワーを秘めていたんである。

ツーストライクからの3球目、Yuiのバットが空を切る音が聞こえた。
瞬間、天を仰ぐYuiがこの球場の誰よりも無念の思いを抱えていたに違いない。周囲の過大な期待を背にプレッシャーも多かったろう、一瞬にして泣き崩れていた。

創部35年目にして初出場の全国の大舞台。紆余曲折、近年廃部の危機も乗り越えてきた我が有馬フレンズ。ここまで選手も監督コーチも父母たちも本当に良くやったと思う。でもそんなお仕着せの甘い慣用句も通用しないほどの落胆だった。ここで立ち止まることは考えていなかったし、目指していた所はもう少し上だったから。

でもこれが全国での実力なんだと冷静に胸の内で反芻する自分もいた。
神奈川代表有馬フレンズの少年たちの熱い全国の夏は、終わりを告げた。
遠雷のように遠く神宮の森から聞こえて来る蝉の声が、筆者の耳に虚ろに響く。

どのチームでもそうであろうけれど、敗者のベンチ裏控室ではほとんどの子が号泣していた。もらい泣きしている下級生も幾人もいた。6年生に至ってはそのちいさな胸中はいかばかりか推して知るべしであった。
主将Ruiに取材依頼。まだ頬の途中に涙が留まっている真っ黒な顔を筆者は直視出来なかったけれど、心を鬼にしてシャッターを切る。
東京新聞・東京中日スポーツのTeshigawara氏、企画事業部Tada氏、報道部Ishii氏。プロだからたぶん慣れているだろうけれど、敗戦の将に気を遣うためか静かな取材となった。記者も仕事とはいえ辛いものだろうと思う。記事は少年野球とはいえ高校球児の甲子園などと同様の扱いの文章だから、それがまた読んでいる者の共感を呼ぶ。

少年野球の甲子園と言われることはこんな場面にもあった。初戦の滋賀戦でもあったけれど、勝者敗者との垣根を越えた挨拶交換。フレンズからお菓子の差し入れと、母たち手作りの思いを込めた千羽鶴を差し上げて思いを託す。もちろん初戦敗退した滋賀県物部少年野球団のそれも一緒に預けた。思わず両チームの母たち数人がハンカチで目頭を抑える場面が垣間見えた。


少し補足したい。
オール阿賀野ジュニア。休憩所でたまたま同席した母二人に思い切って声を掛けてみた。筆者こう見えても人生で一度もナンパなどしたことがなく、見知らぬ女性に声をかけるには真夜中にバンジージャンプするくらいの勇気がいるんである。背中から話しかけた。
「あのおー、ちょっとお話を伺ってもいいですか?」
びっくりして振り向いたお二人は、米どころ酒どころの産地の御多分に漏れず素敵な美人さんであった。
やはりオール、と名が付くからには阿賀野市から選抜セレクションされた選手で構成されたチームであった。いわゆる連合チームである。しかし話を訊いたり後日HPなどで調べたりしたところによると、阿賀野市は町村合併で出来た市で人口も少なく市内にはたった7チームしかないのだった。全国を目指すための苦渋の選択でのオール結成なのだろう。二人の母同士も違う母体チームなんであった。連合は賛否両論あろうけれど、野球をやる子どもにとっては関係ない。むしろ結成して歴史が浅いチームをまとめることの難しさもあろう。たった7チームからのセレクションでこんなに素晴らしい選手を構成出来たことのほうが称賛に値すると思う。また勝ち進むにつれて経済的な面でも苦しいのは甲子園同様の悩みらしい。

フレンズを破りベスト8に進出したオール阿賀野Jrは今日(8/10月曜)、降雨や落雷の中断をはさみ接戦の末、山梨代表に4:3で勝利、とうとうベスト4、準決勝まで進出したのだった。是非頑張って欲しい。

最後にフレンズナインへ。
志半ばで負けてしまったけれど、身びいきではなく本当に良く頑張った。全国13,000チームの中のベスト16に残ったのは決して偶然でもなんでもない、キミたちの練習の努力と気持ちの強さ、仲間を信じる心がここまで来れた理由だ。下を向く必要なんかないしその暇もない。胸を張って凱旋して欲しい。キミたちの心の中には大きな想い出が出来たはずだが、我々父母監督コーチの大人だって一生の想い出になったのは言うまでもない。

Special Thanks
※ここまで全国大会に向けて様々な方々に応援、ご支援、お声をかけていただきました。壮行会を始め神奈川、川崎、宮前少年野球に携わる方々、他チームの指導者、シニアチーム、県議市議、商店会、学校の先生方、OBの子どもたちと、実に多くのそのOB親たち、現役選手の祖父母、チームには関係ないのに頑張ってと声をかけていただいた地元の人たち、東京新聞やタウンニュース社などの報道関係の皆様。
この場をお借りして深謝、皆様本当にありがとうございました。

全国の夢はついえてしまいましたが、彼らの夏はまだ終わってません。
これからも有馬フレンズ、宮前少年少女野球をどうぞよろしくお願い致します。
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