2017年8月12日土曜日

ある夏の一日

夏の緩やかな一日Part1
世の中はお盆休みなんである。少年野球チームでお盆休みをもうけているところはいくつあるだろうか。フレンズは昔はなかった。帰省する家庭は除いて少人数でも練習をやったものだった。

さて今日の土曜Queensは秋季リーグの試合予定があるフォルコンズや、やまゆり関連でいない6年生などを除き、残ったメンバーで練習を決行したんである。お盆休みでメンバーがいないかと思いきや、案外大勢集まったんであった。
中でもこの子らOBが大集結。

FuukoやSunaたちの年代が遊びに来てくれた。Q姫OBたちはそれぞれのLINEグループがいまだに生きていて、こうしてQに来てくれるんである。女子野球Queensならではである。
このうち今でも野球を続けているのはFuukoとYuma。OBがノッカーを務めて現役、OBにノックしちゃう。


OB姫たちは全く屈託なく、監督コーチらが「おお〜い、早くしろよ」なんて言っても、聞く耳持たず、平然とにこにこマイペースなのはQ時代から全く変わっていない。KoshimizuさんやMurataさんもただただ苦笑するしかない。
でも昔とったキネヅカ、さすがに送球のスピードはハンパなく速いのは、見ていて気持ちいいものだ。

現役トスバッティングでは目を見張るほどの打球を飛ばす子が何人かいた。将来が楽しみなんである。

夏の緩やかな一日Part2
...なんである。
昼メシは第一公園近くのこってり濃厚味噌ラーメンに餃子定食、カウンターに備え付けのニンニクチップも投入した。明日もフレンズはないし、連盟HPで調べるとやはり第一第四での秋季の試合はないし、更に残念なことにデートの予定もないから口臭を気にせずニンニクチップなんであった。このブログを読んでいてニンニク臭がしたらどうしようか。その際は周囲にファブリーズを振りまき、鼻にブレスケアをぶち込んでから読んでほしい。

その帰路、自宅近くの有馬中央公園でちょっと一服。
やはりお盆だからだろうか、普段ならそれなりに人がいて公園を闊歩したり野球やサッカーをやったりする子たちがいるのだが、今日は人影はほぼ皆無であった。たまにタクシー運転手がトイレを利用しに来るのみ。
筆者、公園というものが大好きなんである。小説本があれば1,2時間はベンチで読書するのが大好きだったりする。今日もちょっと公園を散策。

木立の中に入ると遠くから鳩たちが低空飛行でハタハタやってくる。
その数十数羽。餌を求めて人に近寄ってくるのだった。ここへ来るといつも餌を持っていない自分を責める。カメラ片手に移動すると鳩たちもひょこたんひょこたん、一定の距離を保ちつつ歩いてついてくるんである。道路を横断するカルガモの親についてくる子ガモみたいに。食欲のなせる動物の本能行動と分かっていても実に可愛い。


深閑とした樹々の木漏れ日から降り注ぐのは蝉の大合唱。

蝉たちはこの時とぞばかりに、短い一生を精一杯謳歌する。
地中という胎内に地下生活数年、地上生活は一ヶ月。
(※Wikiってみたら、蝉の寿命7日間というのは邪説で、3週間から1ヶ月。地中での幼虫時期は4年から10数年なんだそう。幼虫時期も合わせると蝉の寿命は、虫の世界ではかなりの長寿になるのだそうである。)


ある夏の日の、緩やかな一日であった。

にほんブログ村 野球ブログ 少年野球へ
にほんブログ村

少年野球 ブログランキングへ

ノーヒットシンドローム

夏休みお盆の3連休初日、秋季ブロックリーグ戦、VS南菅生ワイルダースなんである。このあとレッパVSメイツ戦もあった。会場は犬蔵小ドーム。校門からグランドまでのアプローチが長く、学校には珍しい竹が植えられていたりして、なかなか趣のあるところである。ここは過去に何度か来ているが、ここ数年滅多に来ないので、新しい部員や親たちには初めて来たという声も聞かれた。

しかし、それにしても雨なんであった。サラサラ、ぽそぽそ、シャラシャラ、ポアポア、シャラポア〜と降るような中途半端な雨である。先日TVで観たのだけれど、大阪のUSJの企画担当者が言っていた。「人は軽く濡れると不快感を覚えるが、いっそ全身ずぶ濡れになると快感に変わる」と。言い得て妙である。確かに夏の夕立で、パンツまで濡れちゃうような豪雨に身をゆだねると、むしろ清々しい気分になるものである。


ワイルダースは昔からお馴染みのNakahama監督。

しっかしフレンズ軍、このところいったいどうしたものか。一時期に比べて打てない試合が続くのである。安打欠乏症候群、専門用語でノーヒットシンドローム(筆者造語)がチームに蔓延し、ジェネリック医薬品の特効薬がぜひとも欲しいところである。なぜ「特効薬」でなければならないか?6年生にとってはもう時間がないからだ。秋が終われば全て終わりなんである。そのへんのところ、いったいチームの何人が危機管理を意識して試合に臨んでいるのだろうか。
1,2回表先頭打者から1,2,3,4番まで連続三振なんであった。

Shohmaが力投し、守備も堅めの守りを見せてなんとか失点は免れる。3回やっと3得点し3:0。筆者はファインダーを覗いているので一瞬の場面が見えず、確実なことは言えないのだが、これは内野強襲安打かエラーか悩む時ってある。プロなら間違いなくエラーでも高校野球なら安打になったりしちゃうんである。いくら内野強襲でも一旦正面から捕球態勢になってグラブをかすめての後逸ならエラーだろう。今日の試合ではプロでなくてもアレは...という場面が連続して得点、Fは実質打てないゲームには違いなかった。むしろ実質安打数ではWが上回っていたんである。

Kazukiの打席。被写体としてはカメラマン魂をくすぐるナニかを持っている男である。その画面右後方にCanon砲を構えて写っているのはHoshiba父。フレンズLINEに毎回素晴らしい写真をアップしてくれるんである。筆者は遠く足元にも及ばない。根っからのクルマ好きで、巨体でごっつい旧タイプの素敵なランドローバーに乗っている。プロの雑誌ライターでプロのカメラマンなんであった。因に筆者はド素人の文章書き屋でド素人の写真好きに過ぎないんである。


試合は4:1でかろうじてフレンズ。

最後にオマケ。
若い頃のカープへの熱情は若干トーンダウンしたものの、まだまだカープファンであることに違いない筆者。熱狂的だったあの頃は古葉監督、コージ、衣笠、慶彦、池谷、北別府、大野...あの時代なんである。筆者は走攻守三拍子のヨシヒコと、出雲信用金庫から入団し大投手になった大野が好きだった。達川に大笑いし、炎のストッパー津田恒美には涙した。
でもって家にたまたまあったカープグッズのひとつ、なんとも可愛い「カープ学習帳」があった。うちのまだ幼いマーゴにあげる予定だったが、それでは豚に真珠になっちゃう、今度Fに入部したばかりのバリバリのカープ女子Rikoにあげようと思う。そのほうが丸も喜ぶはずだ。
正直言うとカープが昨年の勢いのまま、今年も優勝に向かって独走するとは想像しなかった。
ああ、またマツダスタジアムへ行って冷たいビールを片手に観戦したいなあ〜。
しかし今はプロ野球よりも熱闘甲子園が花盛りなんであった。

にほんブログ村 野球ブログ 少年野球へ
にほんブログ村

少年野球 ブログランキングへ

2017年8月10日木曜日

小説「月に雨降る」46

龍一は大通りへ向かう路地を歩いていた。脚は砂浜に打ち上げられた流木のように疲れていた。すっかり雨は止み、すでに空は明るさを取り戻し雲と雲の僅かな切れ目から、青空とも夕暮れともつかない赤紫色の空が垣間見えていた。頭の中ではいろんな思いが渦を巻き、自分をどうコントロールして良いか分からなくなっていた。その渦の中から頭をもたげてきた者がいた。新幹線の黒鏡に映っていたもう一人の龍一だった。
『おまえは本当にそれでいいのか』
何かの力が働き立ち止まる。後ろから誰かに羽交い締めされたみたいに。
『おまえはこのまま家へ帰る。明日になればまたいつもの日常が待っている。そしておまえは、これから一生、自分に言い訳をしながら過ごすんだ。彼女に会わずに帰った理由を正当化し、同時に自分の心に嘘をついて』
何も言い返せない自分がいた。それはとりもなおさず、龍一自身の気持ちでもあったからだ。今度は虚像ではなく龍一本人の心が叫んでいた。
『このまま帰って希伊の残像を心の片隅に住まわせて、一生後悔しながら生きていくくらいなら、希伊とちゃんと対峙(たいじ)しろ。そのあとのことはその時に考えろ。見る前に跳べ』
龍一はそれ以上考えることはやめて、店へ戻るため走り出そうとして後ろを振り向いた。

そこに希伊がいた。

希伊は片手に紙切れを握りしめ肩で息をしながら、真っすぐな目で龍一を見つめていた。唇が震え出したかと思うと、その目からはあっというまに大粒の涙がぽろぽろとこぼれ出た。龍一はサングラスをはずし帽子を取ると希伊に一歩足を踏み出した。そのとたん希伊が龍一の胸に飛び込んできた。
希伊は声を震わせて言った。
「リュウ、逢いたかったよ」
「ごめん、待たせて。もっと早く来るべきだった」
「ほんとだよ、待ったんだからね。遅いよ」
希伊は昔から見え透いた強がりを言うのが癖だ。龍一も返した。
「待った?17年の遅刻だな」
涙目で笑いながら希伊が言う。
「ほんとだよもう。わたしいっぱいシワが増えちゃったじゃん」
「俺も増えたよウェストが。あっ、減ったのもある、髪の毛が」
あははと笑いながら希伊は龍一の脇腹をつねった。そのまま二人は押し黙ってしまった。いったい何から話していいのか。相手にかけようとする言葉を探すと、いくつもの言葉が広大な海に浮かび、手のひらにすくえば指の間からこぼれ落ち、結局お互いの気持ちの収拾がつかないのだった。
もう一度今度は優しく抱き合いながらやっと希伊が耳元で囁いた。その柔らかな胸は龍一の両腕の中に確実に存在していた。
「リュウ、ごめんね、突然いなくなって。話したいことがいっぱいあるんだ」
「うん。俺も訊きたいことがいっぱいあるんだ」
まだ仕事があるから閉店時間にもう一度店に来て欲しいと希伊は言った。
西の空を見渡すと、雲の間から眩しいほどの夕陽が希伊の頬に射して紅く染まっていた。


やっとあの日の、月に降る雨が止んだように思った。灰色の月の世界で強い雨に打たれて佇んでいる希伊を、ようやく迎えに来ることが出来た。同時に永いあいだ龍一の胸の底に沈殿していた灰色の世界もゆっくりと確実に消え去るのを感じた。
にほんブログ村 野球ブログ 少年野球へ
にほんブログ村

少年野球 ブログランキングへ