2017年7月31日月曜日

スコアラーとスコアブック

本日日曜は小雨そぼ降る中、秋季大会ブロックリーグ戦、VS白幡台イーグルスなんであった。今年のイーグルスは滅法強い。冠大会をひとつ制覇しているわけで。

今年は筆者、あまりスコアラーをやらないことにしている。やると写真が撮れずブログが寂しくなるからで、カメラマンのほうに専念するためなんである。しかし、スコアブックをつける楽しさはスコアラーにしか分からないであろうか。またスコアラーでないと見れない光景や情景というものがある。試合に熱くなるととかく我を見失いがちだが、スコアラーはどんなに猛打爆発の欣喜雀躍の狂喜乱舞の前代未聞の前人未到のゲーム展開であっても、一瞬我を忘れて歓喜してもそのすぐあとは冷静沈着にならねばならないんである。ベンチや父母たちが大歓声をあげている中で、独り黙々とスコアシートに記入しなければいけない。まるで昭和のイギリスドラマ「謎の円盤UFO」のエド・ビショップ演じるストレイカー最高司令官のように、沈着冷静、冷蔵庫の冷凍室のように徹頭徹尾、冷徹でなければいけないのだ。冷静にスコアをつけていると、その時に見えてくる光景というものがある。選手と同じ目線で、文字通りグランド目線で試合を観ることもそのひとつである。ただ、肩を抱き合って喜ぶオトナたちの歓喜の輪の中に、自分も飛び込みたいという欲求は今でも抑えられないのだけれど、やはり出来ないのが残念ではある。かつて唯一、スコアブックを放棄してベンチを飛び出し選手やベンチスタッフと抱き合って喜んだのは、一昨年の高円宮賜杯神奈川県大会決勝で勝利し、全国への切符を手にした瞬間だった。あの瞬間はスコア表記なんてどうでもよくなっていた。

スコアラーの楽しさはスコアラーをやった者でしか味わえない快感がある。
超乱打戦の混戦でメンバー交代も頻繁に行われるゲームを、紙面が真っ黒になるようなスコアを、完璧に付け終わった時の達成感は快感以外の何者でもない。中学の学期末試験で答案用紙を返してもらった時に、100点満点だったような気分なんである。
たぶんこのブログを見て下さっている中にチームのスコアラーもいるはず。この快感ワカリマスネ?但し、スコアラーは向き不向きがあって全然ダメな人はダメなんである。そんな人は監督系に向いていると思う。(但し監督は人望もなければいけないが)。監督は誤解を怖れず言えば会社経営者のようなもの。対してスコアラーは会社で言えば人事担当取締役ないし、経理担当部長あたりだろうか。(※しかし筆者、経理とかお金の計算は大の苦手ではあるが)...社長が経理部長に「今の我が社の会社資産と負債はどれくらいか?」と問うのは、野球で言えば監督がスコアラーに「今の回、いったい何対何になった?」と訊いたり、自軍投手のストライク(資産)とボール(負債)のカウントを訊ねるようなものである。
....うーむ、我ながらうまいことを言ったなあ。

さてその試合、イーグルス戦なんであった。監督は老将Wadaさん。パンツまで濡れるほどの豪雨ではないけれど、かと言って優しく降り注ぐ春雨のような柔らかい雨でもなく、少々濡れながら序盤戦はスコアをつけていったんである、A3サイズのクリアファイルにスコアブックを包みながら。筆者は薄い白Tを着ていたので、「ずぶ濡れになってワタシのビーチクが透けちゃったらどうしようかしら」と思ったのは杞憂に終わったのである。

後半は雨はあがって曇天となった。空は曇天であったが、フレンズの最終回は曇天返し、...じゃない、ドンデン返しとならずに大差での惨敗だった。
それにしてもイーグルス、上位下位打線問わず素晴らしいミート力で良く打つのだった。試合後うちの代表も褒めていた。対してF打線は長打が外野正面だったりしたこともあったけれど、もっと打てるはずなのに打てないという負のスパイラルに陥り、散発3安打に終わる。因にエースShohmaの投球数は110球だった。相手投手陣の累計は74。球数を計算した時に100球とか99球とか77球とか111球とかになった時も、スコアラーはなんとなく一人でニンマリしちゃうのが常である。これも攻守交代の僅かな時間に暗算で算出しなければいけない。たまに監督から投手交代の参考のため「今、Shohma何球投げてますか?」と訊かれることもあるからだ。

さて写真は一枚も撮ってないことに思いが及び、帰り際になんてことない、どうしようもない、どってことない写真をiPhoneで二枚。載せないよりはまだ良いかという、お茶を濁す程度に。

ついでなので、筆者が付けたスコアブックの一部も。

.........
試合中、スコアブックのカバーが寿命を迎えたことを知った。
成美堂の黄色い塩ビカバーのバインダー部分がバカになって、ふたつに折り曲げるとバインダーがパックリ口を開けてしまい、用紙がバラバラ舞い落ちてしまう。おバカなワニがのんびり口を開けて昼寝をしてるみたいに。思えばこれ、もう何年も使ってきたんであった。これの前任者に至っては金属部分がサビサビになり、塩ビ部分が切れてセロテープで補強するまで酷使した。しかしこの金属のバインダーがバカになっては手の施しようもない。速攻新品を購入するようInoueスコアラーに要請指示、これまた速攻買ってきたんである。

昔から言うではないか。
「畳と女房とスコアブックは新しいほどいい」と。
ピカピカのクロームメッキの金属部分と、まっ白なスコアシートの迷路を見ていると、これから広大な砂漠を踏破せんとするキャラバン隊のような気分になるのであった。
ちなみにフレンズのMatsui母は女子高生時代、野球部マネージャーとしてスコアをつけていたそうだ。現在鋭意再度勉強中なんである。今日の雨中戦も木陰に立って記録していたんである。
お母さんたち、いや父母問わず「来たれ我がフレンズスコアラー部へ」なんである。

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2017年7月29日土曜日

小説「月に雨降る」44

「いらっしゃいませ」
女子高生のアルバイトだろうか、十代らしき女の子が龍一をテーブルに案内してくれた。店内はやはり古かったがメンテナンスが行き届いているようで、不快な感じはなくその古さがむしろ好感を抱かせた。店主のこの店に対する愛情が感じられる、そんな空気感があった。カウンター席が6席にテーブル席は十数卓、土曜午後夕方のアイドルタイムにしては席は埋まっており、そこそこ繁盛しているみたいだった。客層も家族連れからサラリーマン風、大学生のカップルなど様々だった。静かすぎずうるさくもなく、店内には心地よい適度な喧噪が漂っていた。その喧噪の中に混じってさりげなく店内に流れる、エルトンジョンの「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」のBGMが龍一の記憶に微かに触れた。恵比寿の真壁の店でよくかかっていた曲だった。店内を見渡し目を引いたのは、かなり年配の老人が独りで文庫本を読んでいた姿だった。老人が独りで本を読める店に悪い店はない。龍一がインテリアデザイナーとして自分なりに作った基準、良い店かどうかを判断するひとつのバロメーターだった。しかし昔希伊と来た時の印象とはまるで違っていた。あの時は若い店員の応対がぞんざいで少し鼻についた覚えがあったし、今の床は表情の豊かな上質のテラコッタタイルが貼ってあるが、当時のフローリングはがさがさで床の入り隅にはほこりが溜まって、定期的なメンテナンスがされていないのは明白だった。

龍一はアルバイトの女の子を呼んでアイスコーヒーを頼んだ。明るくはきはきした声でカウンターの奥へオーダーを通す。カウンターの向こうはかすかに見える程度だったが、オープンキッチンになっているようだった。注文を受けて声が返って来た。
「はあ~い」
龍一の腕に鳥肌が立った。
まさか。
忘れもしない少し鼻にかかったような独特の懐かしい声。二人で暮らした若かったころ、何千回も何万回も聞いていたあの声だった。呆然としながら惚(ほお)けたように固まってしまう龍一。しばらくしてアイスコーヒーをトレンチに載せて、その彼女は龍一のテーブルにやって来た。あの懐かしい声で言った。
「お待たせしました」
なぜか咄嗟に顔を伏せて下を向いてしまった。龍一の視界には彼女の小さなスニーカーしか目に入らなかった。キャップを被っていた龍一の顔は相手には見えないはずだった。視界からスニーカーが去って行く。頃合いをみてゆっくり顔をあげた。カウンターのレジに立つその人はいた。
彼女は間違いなく希伊だった。

今でも軽く茶色に染めたショートカットの髪をさらさらと揺らせながら、にこやかに客と応対している。ストライプのゆったりとしたTシャツの上からでもそれと分かるほどの、豊かな稜線も健在だった。時に小首をかしげ眉間に皺を寄せて、時に笑いながら仕事をしている彼女がそこにいた。年齢は龍一と同じだから、それなりの歳を重ねて来た痕跡は明らかだったが、むしろ若いころよりも成熟したひとりの女としての魅力が増しているように思えた。龍一の記憶の中の希伊と、今ここにある現実の映像がぴたりと合致した瞬間だった。

しかしどうしても希伊に声をかけることが出来ずにいた龍一だった。そこへ突然ドアがあいて小学生の男の子が入って来た。背中に背負ったリュックに金属バットを差して。希伊とアルバイトの女の子がにっこりして同時に言った。
「お帰り、カズヤ」
更に希伊は男の子の帽子を取って乱暴に頭をなでると、中腰になって少年と目線を同じにしながら笑って声をかける。
「今日の試合はどうだった。ヒット打てたかな、カズヤ。」少年は「あ」とか、「うん」とかうつむきながらもごもご反応していたが、希伊はすかさず笑いながら言う。
「ははん、さては打てなかったんだろ。よおし、次がんばれよお、ドンマイ」
少年は勝手知ったる我が家のようにキッチンの奥へ走っていった。オープンキッチンにはもう一人のスタッフだろうか、中年の女性が働いているようだった。

普通ならば母と息子の微笑ましい光景だったが、龍一の目には失望の入り交じった光景に映った。やはり希伊は結婚し子どもをもうけて幸せに暮らしていたんだ。半ば予想していたこととはいえ、それを現実に目の当たりに確認してしまうと急速に冷静になっていった。俺は何をしにここへ来たのだろう。希伊に声をかけて互いに驚き、昔話に花が咲き、じゃあ元気でねと、そして俺はひとり東京へ帰る。希伊にしたところで、幸せな家庭を築いているところへ昔の男がのこのこやって来ても困惑するかもしれない。ましてや彼女は一方的に蒸発したようなものだから、俺に対して少なからず負い目があるはずだった。俺が現れたことで彼女はますます自分を責めはしないか。いやそれ以前に、俺のことなどもうとうに忘れているかもしれない。全ては自分の独りよがりで金沢まで来た。相手の気持ちをおまえは考えたのかと、もう一人の俺が詰問する。龍一は何よりも希伊のこの幸せそうな笑顔を壊すようなことはしたくなかった。
しばらくすると店に五十がらみの男が入ってきて、そのままキッチンへまっすぐ向かって行った。希伊はにっこりして「おはよう、お疲れさま」と言って彼のために通路を空けた。飲食業界では昼でも夜でも「おはよう」という挨拶をするのが慣例だ。彼が夫なのだろうか。混乱する頭の中で龍一はコーヒーを一気に飲み干した。苦い味が喉を通過した。
もう希伊を取り戻すことは出来ないんだ。

このまま帰ろうか。
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2017年7月27日木曜日

2017年夏合宿

合宿に行かなくなってもう何年になるだろう。あの楽しさはナニモノにも代え難い、貴重な3日間なんである。一日中炎天下で存分に野球をやり、夕方ひと風呂浴びて、バーベキュー大会、そのあとオトナだけで夜更けまでの酒盛り。いつだったかは2,3時くらいまで飲んでいたこともあったし、翌日他のコワモテの宿泊客から大目玉を食らったりしたことも。
筆者的に一番辛いのは翌日のラジオ体操に、二日酔いをこらえて早起きしなければいけないことであった。

さてフレンズLINEに上がった写真にひと言だけコメントしていきたい。筆者が行っていれば、1枚につき30行の文章を書いてしまうから、延々終わらなくなる。実際昔の合宿ブログは3回に分けて書いていた。

写真は3日間を通して、時系列ではなく、カテゴリー別にアップしちゃう。
また、写真の所有権は母たちにあり、筆者はフレンズでの立場を利用して断りも無く勝手に使用しちゃうんである。それでも私にも良心というものがある。朝のノーメイクと思われるようなカットは掲載しない。もし載せたらきっと言われるに違いないからだ。「ナニやってんだよ〜、このハゲ〜!」あとが怖いからそのへんは斟酌して自粛するのである。
良い写真やギリギリの写真は、筆者と母たちとで「信頼関係」があると思っているので、無断借用しちゃうんである。

その1「グランド、昼、練習、スイカ割り」etc。

数年前からセカンドユニフォームを作って正解だった。ストライプユニフォーム1着の時は、母たちは毎日民宿の洗濯機をずっと回しっぱなしで、大変であった。


妙な陣形を作っているのは、ツルちゃんことTsurukawaオヤジの訓練に違いない。彼は元バイクのロードレーサーという異色の経歴の持ち主である。以前彼と、大藪春彦の「汚れた英雄」の話で盛り上がったことがあった。



現地での練習試合は、いつもの地元のチームとやったのだろうか。


その2「食堂、メシ」
昔現役オヤジコーチだったころの合宿で、とんでもなくマズい食事を出す民宿だったことがある。メシと酒が旨くなければやはりダメである。ここの宿はもう何年間来ているだろうか。


これはメシを食いながら「変顔」しろとのリクエストに応えて撮ったんだろうか。「美人は変な顔してもやっぱり美人」という巷の定説は本当のようだ。フレンズ母たちは結構みな平気で変顔してくれるんである。


その3「OBと代表」

今回もOBの大学生であるKazuが来てくれた。もう就活も終わって来年からの会社も決まったそうだ。めでたしメデタシなんである。これに加えて今年は今、有馬中3年生のOBも参加したんである。実に楽しそうだ。

Hiroと母Natsuが恋人同士で、それに嫉妬するのがオヤジのAyumu...みたいな構図。

次の写真は数年前その中学生らが6年だったころの写真。比較すると子どもらは大きく成長したことが分かるし、同時に母たちもほんの少し成長したようである。成長とはモノも言いようであるが。

昔も今も、母たちにフレンズで一番のモテ男なのは、代表のYanagisawaさんであろう。長身痩躯、口ベタだが少年野球指導にかける情熱は昔も今も変わらない。御年70半ばにして、このモテようである。筆者は20年間フレンズを見てきたが、昔の母たちからもたいへんモテていたんである。普段はちょっと近寄りがたい雲上人的な存在でも、合宿の開放感からかみなニコヤカに写真に納まっている。


その4「夜のお楽しみ」

バーベキューというものを発明したのはいったい誰だろう。敬意を持ってノーベル食文化賞を差し上げたい。実に楽しく良いものである。筆者が昔行った頃は、花火大会の予行演習を近くでやっていて、二重の楽しさがあった。大昔の山中湖合宿は「山中湖大花火大会」に合わせて行ったこともあった。筆者の髪がまだふさふさだった頃である。


誰かがズラを持ち込んだらしい。飲み会ではかなり盛り上がったみたいだ。チャイニーズTakenakaオヤジとフレンチDanielオヤジ。こう書くとなんか「料理の鉄人」対決みたいだな。

今回の合宿写真集でのベストショットはこれ。
LINEで見たときは一瞬「双子の姉妹か?」と思った。誰だろう?と。我が目を疑った。
Inoueスコアラーとその息子Shohtaなんであった。DNAとは恐ろしいものである(^-^)

むむ、これは、OB中坊たちが厨房を覗き込む写真か?果たして...。

実は母が撮った夕方の入浴タイム。これも毎年撮っている。しかし男子だからといってネットにつまびらかに画像をアップしてはならない。昨今、ネット社会ではいろんな性癖を持つ大馬鹿野郎の輩(やから)が徘徊しているからだ。さすがに筆者もどんどん自主規制しちゃうわけで。LINEキャラをモザイク替わりに合成してアップ。


その5「富士、集合写真」

富士はそのときどきで実にいろんな表情を見せてくれる。今回は晴天の写真はなかったが、それでも富士は富士。見ているとなんだか、ほっくりきちゃうのが富士山なんであった。

集合写真。このうちのどれかが年末の成績表の表紙を飾るだろうし、お別れ会のDVDの中にも採用されるに違いない。
準備と実行の母たち、ドライバーの父たちには本当にお疲れさまでした。
2017年、夏の想い出。合宿お疲れSUMMERでした。


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