2017年2月27日月曜日

ちいさな一歩は大きな一歩

土曜日はGreeeeenCupの開会式であったけれど、半ば予想していたとおり朝は起きれず第一公園ドームには行けなかったんであった。しかしそのあとのミッションがあって、Queensの第四公園ドームには行ってきたんである。

あらら、第四公園、どしっちゃったの。しばらく見ぬうちに公園が整備されていた。以前もグランド周囲の遊歩道が整備されてされて見違えるようになったけれど、今度はグランドそのものが改良されて、新しい砂が敷き込まれていた。あの忌まわしき外野の草原は姿を消し、心なしか広くなったように思う。
筆者の娘が現役だった頃。フレンズでBチームのエースだった娘。対する相手はウルフのB。しかも相手投手も女の子だった。先発女子投手同士の対決となったんであった。あの頃は内野はまるでパリ・ダカールラリーのようにガタガタ、外野に至っては果てしなく広がるモンゴルの草原のように高い雑草がこれ見よがしに生い茂っており、外野手がひとたび草に埋もれたボールを見失えば、バッターランナーは悠然とベースを駆け巡るのが常であった。第四ではバウンドがイレギュラーするのが当たり前と思って守備につけよと、当時28番のユニフォームを着てベンチに入っていた筆者は、子どもたちに口酸っぱくして言っていたけれど、あにはからんや、捕れないものは捕れないのだった。まるで、草むらからいきなり飛び出してきたバッタを素手で捕まえろと言っても無理なように。

今は昔。光陰矢の如し、少年老い易く学なりがたし、青年は荒野を目指す、蒼(あお)ざめた馬を見よ、...。あらちょっと違うか。
昔を思えば見違えるようなグランドになった。野球場らしくなったというのが正直な感想であった。ちなみに昨年12月にブログアップした写真はこれ。森の向こうにはカビゴンが鎮座しており、まだ外野には短い雑草がちょびちょび生えている。まるで筆者の頭髪みたいに。

さてさて、Queensである。
フレンズからはかつての「記録よりも記憶に残る」選手、Haruka以来、Queensへ女子選手を輩出していない。Harukaはもう立派な社会人になっている。そして近年フレンズに女子が入ってきたんである。監督Itohくんの姪っ子(姉の子)、新4年Anjuなんである。昨年から水を向けてもずっとQを拒んで来たんであるが、Itohくんが説得に成功し、とうとう見学に行くまでこぎつけたのだった。筆者が第四に行った時にはすでにAnjuは見学どころかガッツリ練習に参加していたんである。
心の中で「うっしゃあ〜」と快哉を叫ぶ。諸般の事情があってすぐに入部は出来ないけれど、ちいさな第一歩なんであった。人類初の月面着陸に成功したアポロ11号のアームストロング船長の言葉のように。
「この私の一歩は小さな一歩だけれど、人類にとっては大きな一歩だ」
(あれは実は虚像だったのではないかという説もあるが、それはここでは論じない)

写真を活写。数枚アップ。グランドの平坦な土にも注目されたし。

QのイケメンオヤジKitamatsuさんと監督Itohとは武相高校の先輩後輩の間柄。それに前監督Satohくんも武相出身であった。


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2017年2月25日土曜日

「騎士団長殺し」購入

土曜も日曜も仕事になりそうだ。明日の土曜はグリーンカップ開会式である。宮前区少年野球の、プロで言えばオープン戦のようなものと筆者的には位置づけている。このあと第四公園ドームでのQueens練習に顔を出して、午後はまた仕事になる。

朝から村上春樹の新刊本「騎士団長殺し」の入荷を知らせる書店からの電話を待っていたんである。熱海の物件で高さ2600mmの自動閉止式建具(引戸)ドアの1/2スケール詳細図を描いていたので、没頭しているとすっかり本のことは失念してしまった。昼メシ時に気づいた「まだ電話ないな」と。不安になってこちらから電話したんである。予約した者で入荷次第連絡をもらうことになっているはずだが、と。そしたら、
「順次ご予約のお客様にはお電話を差し上げてるんですが、お客様にはまだのようで失礼いたしました」
えっ、そんなに予約客があったのだろうか。
「はい、T様ですね。確かに2冊お預かりしております」
ほっと安心。本に羽が生えて飛んで行ってしまうことはないと理解していても。
「いつでもご来店下さいませ。ありがとうございました」
こちらこそ疑ってしまってすみませんでした。

ぶろろん、ぶろぶろ、ぶろろろろ〜...。
原チャリで駅前東急の書店へGO。
当然専用ワゴンにあふれんばかりの「騎士団長殺し」が山積みされていた。素直にこれを買えることは予想していたが、あえて予約して購入したかったんである。
レジに並んで言った。
「今日発売の村上春樹を予約したTという者ですが」
「あっ、はい、お待ち下さい」
レジの後ろのキャビネットを開けてそれを取り出し、
「はい、こちらですね」
一種至福の時なんである。重量感たっぷりの春樹本を手にするのは。
改めてよーく見ればレジの女の子は黒ぶちメガネをかけた若い子で、結構な美人さんだった。だからというわけでは決してないが訊ねてみた。
「あそこのワゴンに平積みされてますけど、予約の人っているんですか」
「はい、あれとは別に予約がたくさん入ってます」
「そうなんだ、良かった」
ニッコリしながらついでにもうひと言。
「上・下巻の長編は7年ぶりですもんね」
そしたら彼女、
「ですね。私も今日仕事終わったら早速読むのを楽しみにしてます」
「そーなんだあ、楽しみだね」
互いに春樹ファンとしての心が通じたような気がして嬉しかった。
ああ〜、なんていい子なんだろう。その場でハグしたくなったが、変態オヤジとして宮前警察に通報されかねないのでやめた。宮前区少年野球連盟広報が変態ジジイとして取っ捕まったら、皆に顔向け出来ないではないか。
今日のニュースで知ったことだけれど、大学生の半分は全く本を読まないとの統計があるとのこと。ああ、嘆かわしい。大学時代なんて人生の中で一番、死ぬほど読書が出来る時期なのに。

支払いを済ませてレジを離れる時に、互いににっこりしながら目で笑顔を交換した。
そんなプチ日常のシアワセ感に浸れた今日であった。
今間もなく0時。明日は午前野球、午後は仕事であるが、今からベッドにこれを持ち込みサワリ部分だけ読んじゃうのである。
これも至福の時なんであった。
おやすみなさい。

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2017年2月24日金曜日

「騎士団長殺し」予約

予約の電話を入れたなんてえのは何年ぶりだろうか?レストランとかの予約なんかは別として。予約の話を要約しないでようやく書くことになったんである。

7年ぶりの複数巻の長編小説が明日発売されるのだ。村上春樹の「騎士団長殺し」1部+2部同時発刊。ワクワクドキドキなんである。筆者はハルキストというほどのマニアではないものの、村上春樹の小説は全て読んでおり大ファンなんである。今回の「騎士団長殺し」というタイトルもどうにもシンプルなだけに蠱惑(こわく)的である。カーマニアがアルファロメオの深紅のボディーを撫で回す時にエロスを感じるように。春樹のかつての小説タイトルには「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」とか「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のように、とんでもなく長いタイトルがあるけれど、「騎士団長殺し」も素敵なタイトルである。以前にも書いたけれど、村上春樹は長編を上梓するのに1,2年かけるのだそうだ。しかもである。普通売れっ子の作家というのは出版社や雑誌社や新聞社から引っ張りだこで連載をいくつも抱えて締め切りに追われるのが常であるが、彼の場合はじっくり納得のいくまで小説を書き上げて、それから自分から出版社に売り込みに行くのだそうだ。「こういうのを書いたけれど、本にしてもらえまいか」と。何度もノーベル文学賞にノミネートされた世界的な人気作家とは思えない行為である。出版社はおそらく宝石箱をひっくり返したような状況になり歓喜に沸くに違いない。ある意味小説家の理想的な創作活動のスタンスだろうか。

発刊前にすでに異例の増刷を決定したとYahooニュースだったかLINEニュースだったかで知った。鷺沼駅前の書店に電話してこれを予約しちゃったんである。
その昔、フレンズの夏の合宿所を予約するためにフレンズ母たちと電話をかけまくった経験がある。その当時筆者はすでにOBコーチであった。6,7年前だったろうか。今は毎年山中湖の民宿を安定して確保しているけれど、あの当時は子どもの人数が少なくてチーム予算が厳しく、また合宿にかかる費用も親子一家で参加するとなると、相当な負担増になるのだった。HISならちょっとしたアジアあたりの海外旅行の値段。(もっともHISが異常に安いとも言えるけれど)そこでなるべく各家庭に費用負担をかけないで、近場の公営グランド、公営の宿を予約しようという話になった。7,8月は合宿の申し込みが殺到するので、人気のある公営のグランドは早い者勝ちなんである。しかも予約開始はその年の4月1日午前9時。8時55分からかけた。繋がらない、話し中である。焦って家電とガラケー両方を両手に持ち、リダイヤル機能で交互にかけまくる。...話し中...話し中...話し中...。結局予約ならず。まるで当時のEXILEのドームツアーの予約電話のようだった。あっという間に予約完売みたいな。そのあと機材置き場の近くや柱の陰とかステージが見えにくい席をまた発売するんである。

というわけで「予約の話」を要約しないでようやく書くことが出来た。
明日鷺沼の書店から「本、入りましたよ〜」と電話が入ることになっている。
これをワクワクドキドキと言わずして何をワクワクドキドキと言うのだろう。
街角で元カノに7年ぶりに偶然遭遇したみたいな気分なんである。

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2017年2月22日水曜日

小説「月に雨降る」38

翌日の日曜日は娘の野球で車出しをして同じ区内の小学校へ遠征に出かけた。大事な試合だった。今日の試合に勝てば予選ブロックリーグを抜けて決勝トーナメントへ進めるはずだった。結果は五対四の惜敗。子らの何人かは泣いていたし、親たちも沈痛な面持ちだった。高知で野球をやっていたあの頃を思い出す。甲子園出場のかかった県大会準決勝の一戦。公立高校でベスト4まで登りつめたことは快挙だったし、親や学校関係者など周囲の期待も膨らむ一方だった。決勝まであと一勝は目前だった。九回裏2点リードしていたのだが、サードを守っていた龍一の凡ミスが引き金となってチームに四球やエラーが連鎖した。気がつくと相手チームのサヨナラの走者が本塁を踏む姿が恐ろしく遠くに見えた。やがて大粒の涙が球場の土を濡らしていった。サードベースが滲んでいた。巨大なすり鉢の中の、歓声とどよめきが龍一の嗚咽を飲み込んだ。
「俺のせいで負けた」
大人になってから時々あの試合を想い起こすたびに、分量を間違えたインスタントコーヒーのような苦い味がするのだった。しかし同時に何かかけがえのない経験をしたようにも思うのだった。勝って学習することよりも負けて学ぶことのほうが含蓄があるように感じたものだった。おかげで少々のことではへこたれず、精神的に強くなったように思った。社会人になって何度か挫折を味わい心が折れそうになってもどうにかここまで来れた。そのたびに打たれ強くなったが、しかし大人になることと引き換えに、少年のころの純真が失われてしまったのも現実のこととして甘受せざるを得なかった。チームの子どもたちを見ていると、あの頃の自分を想い起こし時々そう思う龍一だった。

その晩は監督コーチ、親父たち男だけで残念会という名のいつもの飲み会になった。最初の一時間は熱く野球を語っていた男たちは、酔いが回るにつれて仕事の話や世間話に移り、果ては母たちには聞かせられないような男ならではの軽い猥談にまで発展し、勢いでカラオケスナックまで繰り出した。みな明日は仕事だというのに夜更かしして飲んでしまう、そんなチームの男たちが龍一は大好きだった。店の女の子と大音量でデュエットしている親父を尻目に、そろそろ帰ろうと思った龍一だったが、チーム一の無口で無骨な父が隣に座り訊いてきた。大乗寺義満というおそろしく重厚長大な画数の多い名前だったが、チームの皆からはよっちゃんと親しみを込めて呼ばれていた。彼とは三個しか年齢が違わなかったが、龍一には敬語で接してくる男だった。息子や娘がまだ小さかったころ、龍一が仕事で遅くなった時は何度も子どもたちが彼の家庭で世話になっていた。美人の奥さんには今でも頭が上がらない。
「ところで神島さん、再婚しないんすか」
「なんだよ、よっちゃん、いきなり薮から棒に。ブッシュからスティックだぜ」龍一は笑った。
「もったいないじゃないですか。神島さん四十過ぎでしょ、まだ全然イケてますよ」
彼が経営する土建会社の経理部に三十二歳のバツイチ女性がいて、その彼女が絶対おすすめなのだそうだった。とても美人だし気だての良い女性で俺が保証しますと言ってきた。龍一はこの男のことを100%信頼していたので、彼がそこまで言うからには確かにそうなのだろうと思った。その気遣いが嬉しかった。
「ありがとう、よっちゃん。でも俺さ、今ね、同点の九回裏二死満塁で俺に打席が回ってきたんだよ。思い切ってバットを振りに行くつもりなんだ。クリーンヒットでサヨナラになるかボール球を強振して三振するかはわからない。悔いは残したくないからとにかく振りに行く。見逃し三振だけはしたくないんだ」
義満はきょとんと目を丸くして龍一を見た。
龍一独特の難しいジョークを言っていると思ったのか最初は笑っていたが、直感力の鋭い彼はやがて口をつぐみ、そして言った。
「わかりました。いや、てゆうか正直、言ってる意味よくわかりませんけど、俺に出来ることがあれば遠慮なく言って下さい」
龍一はまた「ありがとう」と言いかけたが途中から言葉にならず、無言で義満にハグした。丸くなった彼の目は今度は目を白黒させることになった。
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2017年2月18日土曜日

少年野球の啓蟄

このところちょいと忙しい。茅ヶ崎と熱海の物件を同時並行路線で仕事、更に来週末からは新浦安の物件が入ってくるわけで。昨日はとうとう代々木の仕事を断らざるを得なかった。ヒマな時はヒマなのに忙しい時に限って更に忙しくなるのがこの業界の常と知りつつも、いやんなっちゃうんであった。忙しいのが嫌なのではない。仕事を断ってしまわねばならない状況が哀しいのであった。忙しいことは大好物なのに。遠い将来受給されるであろう国民年金の見返りが小さい個人事業者にとっては特に。

というわけで今日土曜日はギリまで仕事をして、今年最初の練習試合、昨年新人戦の優勝チーム名門ヤングホークス戦に馳せ参じた。前半だけ観てまた仕事に戻ったけれど。
いよいよ球春なんである。各チーム今日を皮切りに本格始動なんであった。
宮前(川崎)少年野球は今日が対外試合の解禁日。それはまるで「啓蟄」(けいちつ)のようだ。(※啓蟄の意味は小学生は知らなくても良い。しかし中学生なら辞書を調べるべし)
ヤングKurosu監督、Ishikuraコーチ、Kurashigeさんらとご挨拶。監督とはなんだか毎週のように酒を飲んでいる錯覚に陥る。

今季ヤング主将とフレンズ主将。カメラは持参しなかったのでiPhoneで。ところでこのブログ、「Mac」や「iPhone」を「マック」や「アイフォン」と書かないのは、「Mac」や「iPhone」を「マック」や「アイフォン」と表記しちゃうと、「Mac」や「iPhone」が「Mac」や「iPhone」ではなくなってしまうからなんである。ワカリマスカ?「マック」や「アイフォン」と書くと、まるでハンバーガーや安っぽいガラケーみたいになっちゃうからなんである。ワカリマスネ?

ヤングAにはQueensのAyakaとYurikoがいる。その二人の勇姿を活写。iPheoneのズームなので画像は多少粗いが、本人たちは実に可愛い娘たちなんである。二人ともスレンダー美女である。今年のQでの活躍にも期待したい。


試合中、センターへの凡フライが捕れなかったフレンズ。ベンチで筆者、
「あんなフライ、小学生でも捕れるぞい、まったく」
と言ったら、すかさず隣のスコアラーのOhmoriオヤジが返してくれた。
「いやいや、小学生だし」...(笑)
安心した。ボケに対して誰もツッコミを入れてくれなかったらどうしようと不安だったのだったが、スベらなくて良かったわけで。

またこんなシーンも。
塁に走者を置き、打者はKazuki。捕手がパスボール(または投手のWPだったかな)した瞬間、ベンチから走者へ向かって「走れ!」の指示。そしたら打席のKazukiがバットを放り投げて一塁へおずおずと走り出す。会場爆笑。俺はそんな憎めないKazukiが大好きなんである。ハグしてチューしたいくらいだ。

さて。試合途中でAyaka母、Qの母会長Kurashigeさんがチャリでやってきた。筆者に紙袋を手渡す。
「Queens母たちの愛情のこもったバレンタインです」
なな、なんですと?バレンタインですと!ゴディバの義理チョコよりも嬉しいではないか。
ベンチへ戻りスコアラーOhmoriオヤジにたっぷり自慢してやった。Ohmoriオヤジの息子HiroとKurashige家のお兄ちゃんは有馬中で同じ野球部で同級生、めっちゃ仲良しらしい。
「ほれ、Queensの美人妻からバレンタインもらっちゃったぞ」
「チームから?それとも本命チョコ?」
「本命に決まってんじゃん」
.....。スミマセン、見栄を張ってしまうのはオトコの悪い性癖なんである。
Queens母たち、この場を借りてありがとうございます。感謝!

実はこのブログ、このチョコをツマミにウィスキーをグビリながら書いている。
何を隠そう、筆者チョコレート大好きなんである。決して甘党ではないが、最近は粒あんが入った餅の和菓子に凝っている。今の時季はセブンの「桜餅」が秀逸。スーパーライフの「よもぎ草餅」も捨てがたし。但し、義歯がカポリと取れてしまわないように慎重にカミカミしなきゃなんであるが。(因にフレンズ前監督Satohくんは粒あんが大の苦手でこし餡派であった。筆者はこし餡が苦手である)
写真左のサントリー山崎は昔Sohma会長から頂いたもの。超高級品である。
しかし中身はと言えば、Amazonで購入する4リッターペットボトルの安ウィスキーなんである。
見栄を張ってしまうのはオトコの悪い性癖なんであった。

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2017年2月15日水曜日

小説「月に雨降る」37

突然ずかずかと足音がしたかと思うと、のっそりとトイレに行く息子が見えた。すでに龍一の身長に肉薄するほど背が伸びた。用を足しトイレから出てくるともの凄い勢いで顔を洗いまた自分の部屋に駆け出して行く。
「おい、おまえ、今日の部活は」
「ん。だから今焦ってんじゃん。遅刻しそうだよ」
そう言うなり踵(きびす)を返してベランダに突進し、野球の白い練習着を取り込みそのままリビングで着替え始めた。
「あのなあ、もう少し計画的に起床出来ないもんかね。昨日何時に寝たんだよ。またスマホでネット見てたんだろ」
「親父に言われたくないよ。昨日酔っぱらって何時に帰ってきたのさ」
確かに。おまえの言うとおりだ。
「お父さんさ、最近なんか変じゃね」
それは俺が一番よく知ってるし。
「なんかさ、家に帰ってきてもじっと黙って空中の一点を見つめたりとか、深夜にトイレに起きてみたら、居間でウィスキーのグラスの中を覗き込んでぶつぶつ独りごと言ったりとかさ、なんか最近変だよ。なんかあったの」
驚いた。自分の知らぬ間に子どもは親を見る目が成長していたのだった。こんなに大人びた目線をいつのまに備えていたのだろうか。親が思っている以上にこの年頃の子どもは独自の世界を形成しつつあるのだと思い知った。そういえば自分の中学時代も一気に親離れをして野球と友だちと遊ぶことが世界の中心にあった。
「おまえ、よく見てるな。それはそうと部活から帰ったらちょっと話がある」
「はあ?進路のこと?面倒くせぇなあ」
そのあと息子は冷蔵庫から納豆を取り出しスチロールパックのままスプーンで搔き込むと、ローリングスのスポーツバッグを担いで家を飛び出した。その背中に龍一は声をかけた。
「おい、納豆食ったら歯磨いてから行けよ。女の子に嫌われるぞ」
「ん、女子なんて興味ねえし」
嘘つけ。このところ毎晩のように楽しげに女子と電話してるのを俺は知ってるぞ。
そんな時もサチコは玄関に行って、しっぽを自分の足に巻き付けて律儀に座って息子を見送った。サチコの世話は夜遅い龍一に替わり二人の子どもが面倒をみていたのだった。特に娘との仲は親密で、夜になるとサチコは掛け布団と敷き布団の僅かな隙間からするりと侵入してきて、娘の寝床へ潜り込み朝まで喉をぐるるぅぐるるぅと鳴らしながら過ごすのが常だった。

まだ小学生の娘に話すことは躊躇われたが中学生になった息子には今の自分のこと、希伊とのことを話しておこうと思った。その上で金沢へ行くことにしたのだった。その晩娘が自分の部屋に引っ込んでから、男同士でリビングで話し合った。自分の若い頃からの来し方、希伊との出会いと別れ、ほどなくして結婚しおまえたちが生まれ、そして離婚したことを。サチコを拾った顛末も漏らさず話した。気がつくと時計の針は午前零時を回っていた。長い話を聞き終えた息子がぼそりと言った。
「わかった」
息子は真顔になって続けた。

「俺、お父さんを応援するよ。金沢でもどこでも、世界の果てまでも行ってくればいいじゃん。話を聞いていて俺もその希伊さんという人に会ってみたいと思ったよ。だって俺の親父がそこまで惚れ込んだ女の人なんだもの」
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2017年2月12日日曜日

2017体験会2月

団体競技はヒトがいなくっちゃ始まらないんである。始まるどころか定員に達しないとスタートラインにさえ立てないわけで。そんでもって出来ることなら定員よりも多くのヒトが集まれば尚良しってわけだ。近年の野球離れが叫ばれて久しいけれど、それでも波があって今はどうなんだろうか。宮前の中では一部チームを除き、やはり子どもたちの減少傾向に拍車がかかっているチームが多いように見受けられるのであった。

でもって体験会なんである。少しでも多くの野球少年少女を獲得すべく各チーム腐心するのがこのイベントなんであった。フレンズでも今年も開催しちゃうわけで。毎度頑張ってくれたのはNakamura副事務局はじめMaedaオヤジ、他父母たちの努力で企画、実現された。
およそ11名ほどの子たちが来てくれた。現役選手が誘ってくれたり親たちが声掛けしたり、学校にチラシを配布して地道な努力が実ったのだった。
一昨年全国へ行ったときのノボリが寒風にはためく。実に懐かしい。
(※まだフレンズ部員ではないのに、勝手にブログに写真を掲載してすみませんなんです。異議申し立て、クレームなどございましたら速攻削除しまする)


みなで準備運動、ランニング、軽くダッシュ。


キャッチボール。野球の基本はキャッチボール。キャッチボールは野球の基本。さてどっちが正しいのか?そーなんである基本的にどっちも正しいんであった。まだ2,3年生なのに身長のある男子や、女子なのに足の速い子などなど、なかなか素敵な子が多かった。

ひとりずつティーバッティング。おしなべて皆本当にうまいという印象を持った。せっかくなので正面からの勇姿を激写。



ふたつに分かれて紅白試合的遊び半分的ミニゲーム。高学年はグランドの隅でノック、低学年たちがゲームに加わりのチーム編成。ティーでボールは柔らかいゴムボール。これが一番盛り上がった。勝ち負けがかかるし、ちょっとしたスリルと緊張もあり、思い切りプレー出来ることもあってか皆生き生きと躍動していた。

元気に駆け回り、打撃も下手すりゃ現役の選手よりもうまい女子がいた。あとで聞いた話によると、ご両親が大のカープファンで(それもハンパない筋金入りのファン)、昨年は大変だったらしい。それに影響されてその子も野球大好き少女だったんである。走攻守全部ではつらつとしていた。筆者も浩二・衣笠・慶彦・大野・北別府以来のカープファン歴約38年(但し筋金は入っていないけれど)、まこと嬉しい限りである。...って、まだ入部は決まってないけれど。

ゲームセット。出来れば最後は現役選手による模範演技ならぬシートノックを披露して、締めにしたかったけれど。監督Itoh、代表Yanagisawaさんから挨拶。
この中から一人でも多く入部してもらえたら実に嬉しいんである。
どんだけ嬉しいかと言うと、地面に向かって「ブラジルのみなさん元気ですかあ」と叫ぶに飽き足らず、シャベルで地面を掘っていき、ブラジルまで貫通したあと現地のリオのカーニバルに参加したいくらい嬉しいのである。


帰り際にフレンズ、チーム母からバレンタインデーの贈り物をもらったんである。お気遣い嬉しいではないか。もちろん筆者だけではなく他のコーチもである。更にとびきり若いモデル級の美女からもいただいた。たぶん筆者のバレンタインデープレゼント史上一番若い女性からである。さて誰か?フレンズ紅一点の小学三年生Anjuからだった。(もちろんこれも他のコーチももらっている)
実に嬉しいではないか。
どんだけ嬉しいかと言うと、天にも昇る気持ちでふわふわと浮き立ち、実際天国まで行って神様と名刺交換しちゃうくらい嬉しいのであった。

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