2017年10月10日火曜日

Q.川崎秋季大会初戦突破

川崎市秋季大会なんであった。昨日の日曜には連盟連絡網がひっきりなしに筆者のiPhoneを鳴らし続け、単独、連合の速報がもたらされた。残念ながら単独のサンダースが強豪相手に初戦敗退するも、他のヤング、5,6年連合の宮前勢は全て圧勝、快勝、辛勝、順調な滑り出しを見せたんであった。女子宮前スマイリーズ(Queens)だって負けてらんないやってんで、今日、月曜のブログに突入なんである。
ただし例によって写真枚数はハンパない。これでも相当割愛したんであるが。

初戦はVS多摩ウィンドフラワーズ。監督は女性監督で有名、Qとも親交のあるMinobuさん。QueensはKoshimizu監督が仕事で断腸の思いで不在、監督代行、理論派冷静沈着の29Satohコーチがシートノック。

ひと試合で300枚以上撮ったんである。ブログ用でなくても「6年送る会DVD」用に撮ったつもりなんである。一人ひとり載せたいのは山々なれど無理ってもんだ。それでシートノックと打席を全員撮った写真を納めたフォルダのスナップショットを。

その中で写真的に良いなと思った二枚だけアップ。躍動感溢れるサードYurikoと、右手を添えて基本に忠実なキャッチャーHinata。


初回表WFの攻撃では、猛打爆発三塁打が3本連発し一挙4失点。暗雲たれ込めるスタート。少し重い空気がQに淀んでいたが、今のQなら一気に追いつくチカラがある。


その裏Qの反撃を観るにつけ、やはり杞憂だったことを知る。Murata代表が試合前に言っていた。「今のQは1,2番が絶好調だから、あとに続く主軸がいかに打てるか。それが出来れば勝てる」と。これが見事的中したんであった。

1,2,3番Ayaka、Sachiko、Hinataが連続三塁打を連発。まるで先ほどのWFのビデオを観てるように。4番主砲のAkene、更にRina、下位打線のHasumi、Kuuにまで安打が出て打線が繋がり、一挙8得点で逆転。圧巻の空中戦であった。



4:8ダブルスコアで逆転に成功したものの、2回表WFも必死に猛追。2得点で6:8。筆者ファインダー越しに思った。安穏(あんのん)としていられない。点数は取れる時はいくらでも取っておかねば。


2回裏Qの攻撃も打力が練習通りのチカラを発揮し、更に6得点しちゃったんである。こんなに打つQは今年初めてである。勢いに乗ったQ戦士が止まらない。Rina、Yuriko、そしてあのKuuにも二打席連続安打となる三塁打まで飛び出した。更に上位打線に繋げば安定した1,2番長距離砲がヒットをまた連発。


応援にOBのMochidaコーチ、Miku親子も来ていた。


全員がよく打ってよく守った。パワーゲームを制したわけで。中でも特筆は3打数3安打
5打点、3安打は全て三塁打、333の快挙を成し遂げたSachiko。(4打席目は筆者の記憶が曖昧なのでカウントしてない)真面目にコーチの言うことを聞いてコツコツ野球をやってきて、今まさに大輪の「花」を咲かせた感がある。またこの笑顔にも「華」がある。
WFも最後まで声を枯らして奮闘していた。



結果は6:16のコールド勝ち。試合後仕事中のKoshimizu監督からも祝福のコメントがメールやLINEに届く。主軸のみならず、下位打線も活躍し、守りでも四死球、失策が極端に少ない全員野球の素晴らしいゲームであった。

...........
さてさて「晴耕雨読」的オマケなんである。
Qベンチ付近からベンチ入りAkane、Hinata母二人の写真を二枚撮った。口元が見事にリンクしている。固唾をのんで観る時と、左下、口元をきゅっと結んでいる時と。

大昔フレンズのQ姫、Harukaの時もこんな面白写真を撮った記憶があるけれど、今回もやってみた。ターゲットはこういう写真に快く応じてくれる、可愛くて聡明で素敵な母Satokoちゃん。若い頃の激痩せ写真や、ダンナとのラブラブ写真まで見せてくれた。
田園都市線の電車を丸呑みしようとしているではないか。

ここ多摩川少年野球場「瀬田」では昔から大きな「溝」があるんである。事故防止のために立て看板がある。昔はなかった。看板を立てる費用があるならば溝を埋めたほうが良いのではないか。費用対効果など総合的に判断して、筆者はそう思う。「溝に注意」

この看板の周りには大きな「熊」のような風貌のQオヤジが数人戯れて観戦していた。
Yoshikawa、Yamadera、Ogawaオヤジたち。写真を撮った瞬間閃いて、こうなった。

ラストはこれ。
ここ河川敷に来るとは川向こうに二子玉の高層ビル群が見える。毎度お馴染みとなった風景である。

これをパロディー風に写真合成するのも、毎度お馴染み。試合前はカナダの獰猛な熊グリズリーのように近寄りがたい雰囲気を醸していたSohma会長。Qの快勝に最後はニコニコであった。しかしその巨躯を支える椅子がなかったため、急遽用意したのがこの「高層ビル椅子」なんである。
可愛いQ姫たちを厳しくも優しい目で俯瞰、睥睨(へいげい)していたのだった。

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2017年10月5日木曜日

小説「月に雨降る」52

「本当にあの時は鳥肌が立って、しばらく収まらずに呆然とした記憶があるわ」
希伊はここで少し過去の話を切った。
ここまで希伊は遠くを見る目でゆっくりと話してきた。龍一は時折ウィスキーを舐めるだけで黙って話を聞いていたが、最後の図面の「氷室工務店」のくだりでは同じように鳥肌が立った。自分も毎日図面と格闘している身で、伊三郎とはいわば同じ業界の大先輩みたいなものだ。これも何か、希伊を介して引き寄せたものがあるような気がしてならなかった。
龍一は初めて口をはさんだ。
「希伊のお父さんがその図面を描いた時は、当然希伊はまだ生まれてなくて、まさか何十年もあとに自分の娘がその店に関わるとは想像もしてなかったろうね」
「本当ね。今でも私も信じられないくらい」
ビールをくぴりとひと口飲んで続けた。
「でもなんか偶然て言うより、むしろずうっと細い糸で繋がっていたような気がするの。下を向いてその糸を何年もかけてたぐって歩いて来て、糸の端っこにたどり着いたときに、ふと顔を上げたらそこに父と母が立って待っていたような。ただ、その時の二人の顔が笑顔だったかどうかは私には想像出来ないけれど」
龍一は亡き両親の心に想いを寄せてみた。伊三郎は希伊の存在すら知らずに自らの命を絶ち、母の希沙子は絶望の中で生まれた、ちいさな希望の光だったはずの幼い我が子に、十分な愛情を注げぬまま重篤な病でこの世を去った。二人とも胸がつぶれるほど無念だったに違いなかった。

しばらくすると希伊はまた記憶の糸を引き寄せるように話し始めた。

希伊がまだ生まれる前、希伊の実の父、氷室伊三郎がFMコーポレーションの店舗工事を孫請けとして受注し、何十枚もの施工図面を一式作成していた。伊三郎が幾晩も徹夜しながら描いた図面だった。店舗が完成後FMが強引に仕上がりに難癖をつけて工事残高の支払いを拒否したため、末端の氷室工務店は一気に窮地に追い込まれた。伊三郎は上京してFM社長の永山剛に面会し直談判をしたのだが、冷徹にあしらわれたその結果、自動車事故を装い保険金目的で自殺したのだった。その時妻希沙子のおなかに小さな命が宿っていることも知らずに。「赤い屋根の店」はFMが石川県に初めて出店した店舗であると同時に、伊三郎が最後に仕事をした建築だった。

昔希伊が探偵の黒坂から聞いた話を胸に、改めて不動産屋にも話を訊いた。希伊にとっては憎むべき養父剛の店舗であったが、また反面実父伊三郎の唯一の遺品、遺産のように思えた。この父が遺してくれた家に住もうと決心した。当初二階も客席にするつもりだったが、料理を二階に上げるためのダムウェーターの増設費用が捻出出来なかったことを逆手に取り、二階は自分の住まいにしようと思ったのだった。顔も知らぬ父や母とやっと一緒になったような気持ちになれた。更にFMが赤字経営で手放したこの店を再生しなんとか成功させることで、剛に対してささやかではあるが見返すことにもなる。こうして希伊は数奇な運命のもたらす偶然から念願の店を持つことになったのだった。

金沢へ来て以来、もともと女としての魅力を持っていた希伊を男が放っておくわけがなく、その中の何人かの男ともつき合った。中には真剣にプロポーズする者もいたが、希伊は頑(かたくな)に断った。それは何も言わずに立ち去った龍一への想いがいまだにどうしても断ち切れずにいたからだった。すでに結婚や子どもに対する偏った考えは雲散霧消していたが、結婚するならやはり龍一の名前しか浮かばなかった。奇しくも龍一も希伊も何年もの間、遠くに住まいながらも互いのことを想いつつ過ごしていたのだった。
希伊は生活に余裕が出てきたころ、いっそ上京して龍一を訪ねようと思った時期もあったが、不条理に蒸発してしまった自分に負い目を感じ、龍一なら笑って優しく迎えてくれるるに違いないことは理解していても、どうしてもそのハードルを越える勇気がなかった。更に龍一がすでに結婚しており、それを知った時の自分の絶望感が怖かった。絶望を払拭しハードルを越えるには、あまりにも時間が経ちすぎていたのだった。
ずっと龍一のことを胸の底に沈めて毎日を忙しく過ごしていたそんな時、今日突然龍一が目の前に現れたのだった。

ふうっとため息をつき希伊の独白が終わった。
龍一の話と希伊の独白を混合して撹拌されたとき、二人の心の間には目に見えぬ無数の信号が行き交い、言葉にせずとも共通の認識を持ったことに同時に気づいた
「あの雨の晩結婚を申し込んだよね。今、もう一度繰り返すよ」
龍一は希伊の瞳の奥をしっかりと見据えて言った。
「一緒になろう」

...............
小説「月に雨降る」は、次回が最終回です。

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