チャーチルズ・マティーニというのをご存知だろうか。
そもそもマティーニというカクテルは超シンプルなれどカクテルの王様なんである。しかもドライになればなるほど通好みなのだ。ざっくりとしたレシピはこんな感じ。筆者二十歳そこそこの若い頃銀座と赤坂のバーでバーテンダーのバイトもやっていたんである。
1●マティーニ=ジンに少々のドライベルモット(例えばチンザノドライ)を加えステアーし、カクテルグラスに注いだあと、おもむろにスティックに刺したスタッフドオリーブを落し、最後にレモンピールをぴゅるっと振って出来上がり。
これをステアーではなくシェーカーでシェイクして作ってはいけない。水っぽくなって呑めた代物ではなくなるからだ。昔シェイクして出してきた店に猛抗議して作り直させたことがある。
2●ドライマティーニ=上記ジンに加えるベルモットを少なくし、一層ジンの辛さを際立たせる。普通はこれが主流。
3●エキストラドライマティーニ=ほとんどジンオンリーである。ほんの僅かなベルモットを1,2滴垂らすだけにとどまる。
4●ベリーエキストラドライマティーニ=ベルモットのコルク栓をぺろり舐めてからストレートのジンを呑む。
筆者は3番目の「エキストラドライマティーニ」が好きだ。自分をいわゆる「通」だとは思わないが辛さと甘さのバランスが程よいのである。
ところがこの上を行く究極の「スーパーエキストラドライマティーニ」があるんである。
昔から喧伝されているいわゆる「チャーチルズ・マティーニ」
英国歴代首相の中でもひときわ記憶に残るあの、ブルドッグのような人相と歯に衣着せぬ物言いで有名だった第二次大戦時代のあの人である。彼が好んだマティーニとは....。
●チャーチルズ・マティーニ=ベルモットの瓶を眺めながらストレートのジンを呑む。
真偽のほどは別として楽しい話ではある。
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さて今日、ある友人家族からとんでもなく素敵な贈り物をいただいた。
薩摩焼酎で「晴耕雨読」なるものがあるとは以前から知っていた。機会があれば一度呑んで、いやお目にかかりたいと思っていたんである。友人のおかげで今日、「晴耕雨読」にお目もじ叶うことになった。
「晴耕雨読」とは中国の故事や四字熟語ではなく、れっきとした日本の書物のタイトルなんである。筆者読んだことはない。主客転倒も甚だしいものだ。
簡単に言えば「晴耕雨読」とは「晴れの日は額に汗して働き、雨の日は読書に勤しむ」
ボトルの裏のラベルを見たらこんな文章が引用されてあった。
「....人生最高の楽しみは贅沢栄達にあらず、...中略....歴史の英雄豪傑を罵倒する、酒と楽しむ読書にこそあり」
友人に感謝したい。
今晩はこの「晴耕雨読」のボトルを眺めながら、これを酒の肴にして安いウィスキーをあおる筆者なんである。チャーチルズマティーニならぬ、俺の「晴耕雨読」なんである。
もったいなくて当分呑めない酒がまた一本増えた。
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