2016年6月12日日曜日

2本のクレヨン

子ども会大会なんであった。もうこんな時季になっちゃったのかと、今更ながら時間の過ぎる早さを痛感するんである。開会式には間に合わず第一試合のフォルコンズVSリトルグリーンズから点描を。


フォルコンズと言えばQueensにも所属する姫たちが多いわけで。その筆頭がSachiko。さっちゃん以外にもフォルコンズのちっちゃい姫たちも健気にボールガールを務める。

フォルコンズに快音が続く。L・グリーンズも必死で追いすがり、一時は5:5の同点の切迫した展開に。

終盤Sachikoがいいところで安打を放ち、本塁も踏み加点した。
なかなかの打撃戦となったけれど、最後に試合を制したのはフォルコンズであった。

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2試合目がフレンズVS神木マーキュリーズ戦。今年不死鳥のごとく蘇ったマーキュリーズなんである。6年Gomikawaくんのキリリと伸びる速球は宮前でも1,2を争う球であろうか。このボールにFはキリキリ舞いを演じてしまうとは...。
主審はフォルコンズ母体のUeshimaさん。真面目で温厚な人柄である。


Fは全く手が出なかった。相手投手が良いとなかなかバッターは手が出ないのは、何も少年野球に限ったことではないが、それにしてもなんである。2回裏にかろうじて無安打で1点先制はした。そのあともFから快音が響くことはなかった。


逆に4回にはMが犠打やFの2失策、安打もからめて3得点で逆転。3:1。こんなはずではないはず...とFの誰しも思ったに違いない。

5回にやっと安打が。不甲斐ない高学年の目を覚醒させるようにライト前タイムリーツーベースを放った。スーパー3年生背番号2のHideakiなんであった。これでなんとか3:3のタイ。

同点のまま最終回裏Fの攻撃。DBにつきルール上代走に出たのは主将Kaito。三塁まで進塁しツーアウト。ここで本塁を踏めば逆転サヨナラとなる。
ベンチ裏を見れば神妙な顔の群れ。Toyoda母は手を合わせている。

豪速球が災いしたか、最後はWP?PB?でKaitoが本塁へ突っ込み還ってきた。

すかさずベンチ裏にカメラを向ける。破顔一笑。

初戦でついえるかと一時は思ったものの、起死回生のかろうじて手に入れた、いや手に入った勝利であった。Fはもらったような勝ち。たった1安打。対して神木Mは6安打の奮闘。この2年間の空白を思えば心からエールを送りたい。
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3試合目は向ヶ丘サンダースVS花の台フラワーズ。
もっと接戦を予想していたのだが、ふたを開けてみれば花フラの一方的な展開に。

1回に1点、2回に2点、3回は...3点を挙げたH。終盤1点を返したものの、Sは惨敗を喫した。当初は丘の上から黙って観戦していた名将Matsuiさんもボヤキが始まったんであった。



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さて、フレンズのみならず3試合も記事にしたのは宮前少年野球連盟広報としての責務であり、少年野球ブロガーの性なんであるが、ここでもう一つ、広報として宮前の輝かしい今日の結果をひとつ報告しておかなければならない。

高円宮賜杯神奈川県大会決勝を制して、優勝の栄冠を手にしたのは....。
宮前から川崎を突き抜け神奈川の頂点に立った、富士見台ウルフ少年野球クラブなんである。昨年の有馬フレンズに続き2年連続で宮前が全国大会出場を決めたのであった。これまた名将と謳われるOgasawara監督の悲願が叶った日である。何年間もそのチャンスがありながら不運にして一歩手前でその願いが叶わなかったほどの強豪。かつてジャイアンツジュニアで全国の風景はいやと言うほど脳裏に刻んでいるOgasawaraさん。きっと今頃は武者震いしているに違いない。
宮前的にも大快挙なんである。
想像して欲しい。
神奈川の箱にぎっしり詰まった途方もない数のクレヨンがある。一斉にそれぞれ地元の川に放り込み幾多の苦難の波を乗り越えて、たった一本だけ全国という名の大海に躍り出たのが2年連続で宮前の色をしたものなんである。
昨年の我がフレンズのあの一瞬の感動が蘇る。筆者は決勝でスコアラーだった。大師球場の風の色が今でもくっきりと記憶に刻まれている。
同じ宮前チームとして、また宮前少年野球連盟として率直に「おめでとう」と申し上げたい。全国のキャンバスに宮前色のクレヨンでどんな絵を描いてくれるのだろうか。

これを書いているのは日曜21:30ころ。常勝ウルフメンバーはいつもの祝勝会とは違う、特別な勝利の美酒に酔っているに違いない。
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2016年6月11日土曜日

「晴高倒低」

今日土曜日は筆者はやんごとなき所用にてフレンズには行けなかった。所用とは...。娘が幼なじみの結婚式にお呼ばれしちゃって、朝からマーゴ二人を預けに来たんである。マーゴという名のほぼ「怪獣」二匹である。TVは破壊され、食器棚は倒され、本は食いちぎられ、じゅうたんはひんめくられ、ベッドは窓から外へ放り投げられる有様であった。そんな暴風が吹き荒れる中、筆者は粛々と仕事なんでった。

というわけで、今日のフレンズには行ってないものの、LINEグループに写真がアップされてきた。二つの世界でそれぞれの中心で何を叫んだのだろうか。

まずは川崎市スポーツ協会から昨年度のフレンズの活躍と偉業に対して表彰式なんである。昨年のチームを誇りに思い現役高学年が晴れの舞台へ。監督コーチも列席、その他にも多種多様な表彰者がいた。

そんでもって夜これを書いてる途中で更にLINEにアップされたのがこれ。賞状部分だけを囲うことで拡大加工して格好良く書こうと思ってたけれど、下の写真ナイスタイミングで送られてきたんであった。


場面は転じて第四公園ドームで低学年大会の開会式である。
ここで以前から紹介しているように、フレンズは馬絹メイツさんと「友だち仲間」連合を組んで参加なんである。

南野川ブルーアローズとの一戦。経過は分からないけれど、結果は残念ながら8-4で負け。初戦で倒れてしまった。しかし子どもたちは野球を楽しんでいたそうな。連合だからこそ勝ちたかったのであるが、仕方がない。メイツさん、短いおつきあいでしたがありがとうございましたm(_ _)m
またお互い切磋琢磨してぐわんばりませう、なんであった。
2チームの彼らが6年になった時にまたナニかの大会で対戦することがあるはずだ。
負けちゃったフレンズメイツナインの写真。心無しかちょっと残念そうな表情なんであった。

ところで今回のブログタイトル。
高学年は晴れの舞台で、低学年は初戦で倒れた...。
「晴高倒低」
今日は暑かったですね(^-^)
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小説「月に降る雨」5-A

いつものことなのだが、午後一のプレゼンには大抵昼飯は抜きになってしまうのが常だ。慌ただしくMacの電源を落とし龍一は言った。
「恭子ちゃんそろそろ行くよ」
「はい」そう返事した鈴木恭子を振り返ると、すでに重そうなA2サイズのプレゼンボード十数枚を抱え、設計部の部屋を出て行こうとするところだった。エレベーター前で追いつくと、それは俺が持つよと言って龍一は恭子から荷物を取り上げた。
「神島さんて優しいんですね。これ昨日徹夜で仕上げたボードでしょ。私は十時で帰りましたけど」
「えっ、いや、その、てゆうか、そんなの男が持つの当たり前だろ」龍一は恭子の少しハスキーな声に胸の奥がうろたえるのを感じた。
「今日のプレゼンは月地と梅川とはヒルズで直接待ち合わせだから」
エレベーターの中で恭子の女の匂いに鼻腔をくすぐられながら、一階につき扉が開くやいなや言った。
「やばいな。ダッシュで行くぞ」

六本木ヒルズに着くとすでに月地と梅川は待っていた。
「梅川、悪りい。遅れてしまった」
「遅っせえよ。すぐ行こう」と、梅川が言うと一同四人でクライアントの待つ店に行った。そこはヒルズが開店当初から出店している飲食店で、以前龍一たちのデザインがコンペで勝って設計を担当したのだった。今回は全面リニュアルするにあたり、特命での指名となった。

龍一が恵比寿にある商業施設の設計施工の会社「株式会社T&D」に就職したのは十九年前。今は設計部長となった孝雄に面接で採用されて、五年前に龍一はチーフデザイナーとなった。月地信介は二十九歳の若手ではあるが、龍一にはない斬新な視点からアプローチする力を持ち、クライアントとの渉外能力も併せ持った後輩だ。年下ではあるが龍一は彼の実力は十分に認めていた。営業の梅川は四十一歳、龍一と同い年で同期入社。やり手の営業マンよろしく、時には大風呂敷を広げて嘘八百を並べてでも仕事を取りに行く場面にはひやひやさせられるが、社内でも一番の稼ぎ頭だった。また個人的にも飲み友だちであり、互いの家を行き来したりもする仲である。

ヒルズでのプレゼンが終わった。四人で喫茶店に入りミーティングという名の一服タイム。クライアントの受けは上々だったじゃないかと言えば、すかさず、
「何?暗いアンコって?」とひゃらひゃら笑う梅川。恭子のことに話が及ぶと、
「恭子ちゃん、今日このあとはどうすんの?なんつって」
と、またダジャレを言ってはにとにと笑う奴だった。
「おまえな、ウチみたいな会社だからまだ許されるけど、大企業だったらセクハラで訴えられるぞ」と笑いながら龍一が言っても、
「何、セクハラって。セックス...なんだっけ?」
信介が間に入る。
「セクシャルですよ。セクシャルハラスメント」
気負い込んで龍一も言う。
「何?誰がセクシャルな腹のメンズだって」
信介がまた突っ込む。
「うっわ、ついに出たあ、神島さんのオヤジギャグ。神島さんのダジャレって毎回ビミョーなんっすよねえ、今までさんざん聞かされたけど」
「それ知ってる。俺だって自覚症状あるよ。場がしんとなると、一瞬死にたくなるよ」
からからと一同笑った。店内の時計に目をやればすでに七時を回っていた。これから得意先と食事をする梅川と、彼女とデートの約束があるという信介と別れた。駅へ向かいながら、
「恭子ちゃんは?」
「神島さんは?」
おっ、そう来たか。
「俺は予定ないけど」
「わたしもないです」
そう来なくっちゃ。
「じゃあ、飯食って帰るか」
「はい。いいですね」
六本木でしばらく店を探していると龍一の尻のポケットが震えた。
「はい、神島です」
「久しぶりだね、村井です」
村井は上場企業の役員で、以前龍一がそこのエントランスホールを設計した時以来の付き合いで、仕事にはつながらないがたまに一緒に酒を飲む仲だった。仕事抜きでも個人的な付き合いがあった。
「ちょっと紹介したい店とそこの主人がいるから、急なんだけどさ、これから晴海まで来れない?」
龍一は電話を耳に当てながら横目で恭子を見やり迷った。どうしよう。...まいっか。
「わかりました、今から伺います。ただし若い美人の連れがいるんですが、一緒でもいいですか」
「それはなおさら結構だね」
恭子に簡単に訳を話すと、一瞬瞳の奥に失望の色が宿った気がしたが、にっこりしながらぜひにと即答した。

タクシーを拾って晴海の教えられた店の前に着くと、欄間に掲げられた分厚い欅の無垢材の看板には『輿路』(こしじ)と彫られてあった。
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