2016年7月18日月曜日

少年野球指導者のふたつの条件

梅雨も明けてない、夏休みにもならない、まだ7月だっちゅうのにもう秋季大会の開幕なんである。(※これを書いてる7月18日には、東海地方まで梅雨明け宣言があったけれど)ブロックリーグ戦ののちに決勝トーナメントを開催するため、長丁場の2016宮前の真の王者を決める大会なんである。試合を重ねるごとに子らは成長していくわけで、実力伯仲のいい試合を期待したいと思うのが筆者も含めて宮前関係者の願いでもある。

では恒例2016年各チームの行進から。本大会の部(いわゆるAチーム)全20チーム、ジュニアの部(いわずもがな5年生以下Bチーム)全10チームの参加。ただし野川台フォルコンズと有馬こども会はあいにく夏の合宿で開会式は不参加である。





ジュニアの部なんである。ウルフはB1、B2の2チーム編成。B1B2といっても地下一階と地下二階ではないぞ。天まで上るほどの青天井、底辺の野球人口増大なんである。



昨年度の優勝旗、優勝杯の返還。本大会の部では、昨年フレンズは秋季を当たり前のように最後まで戦うつもりだったけれど、初戦敗退の大番狂わせ。結果富士見台ウルフが優勝。優勝旗返還は今年の主将Ogasawaraくん。8月からの高円宮賜杯全国大会でチームを牽引する、チームの屋台骨を支える小さいけれど太い大黒柱だ。

挨拶のスピーチなんである。連盟会長Sohmaさん。宮前区長野本さん、神奈川県議持田さん、そして珍しく川崎市長福田さんがマイクの前に。福田さんのスピーチは野球少年少女たちの心に響くものがあったに違いない。大人が聞いていても思わず聞き入ってしまった。


少年野球界に誇る川崎宮前の指導陣である。野球経験者もそうでないコーチも一生懸命子どもらの指導に当たっている。彼ら(我々連盟も含めて)の共通項は、「子どもが好き」なことと、「野球が好き」なことと、更に熱意があること。このふたつの「好き」のどちらかでも欠けていたら、どんなに野球技術や経験や知識があっても少年野球監督やコーチにはなれないんである。



選手宣誓は馬絹メイツ主将Kimuraくん。

今年の丘の上ギャラリーを展望する。筆者が20年前第一公園に初めて来た頃と比べたら、少しずつ整備されて今や実にきれいな球場になったものである。



10円募金の挨拶は合宿でいないOhtakeさんに代わり連盟副事務局長Fujisawaさんから。
来週はウルフの全国大会壮行会がある。筆者もお招きにあずかっているので、そのへんはまたここで。いやが応にも昨年のフレンズの壮行会のことが頭をよぎるわけで。ウルフさんも今はきっと大変忙しい思いをしていることだろう。昨年の壮行会経験者としてフレンズからアドバイザーとしてNishiharaオヤジが打合に出席したそうだが、酔っぱらってアドバイザーどころか、ツバが割れたサンバイザーほどの効果しかなかったらしい(^-^)

このあと初戦での「始球式」に向けて宮前区長野本さんと、神奈川県議会議員飯田さんがキャッチボール練習。飯田さんは東海大山形で高校球児だった。その試合前のバックネット裏の談笑シーン。野本さんの始球式及び第一公園での2試合、フレンズVSヤング戦などはまた次回ブログにてなんである。

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三つの指差し確認

このところアホのように、またはバカのように、あるいは愚直に、つまらない小説を書いちゃったりしっちゃったりして、少年野球的「晴耕雨読」的少年野球的ブログがとんとご無沙汰的、...なんであった。

今日はいよいよ宮前秋季大会が開幕なんである。
連盟公認ながら連盟非公式広報担当としては、恒例の子どもたちの行進の姿を更新すべく後進にあとを譲るつもりで連盟の功臣になるべく、愛馬を駆って第一公園ドームへ馳せ参じたわけで。このブログで宮前戦士の勇士をお伝えせねばならぬと思いつつも、久々のフレンズオヤジ飲み会で、ぐでぐでのへろへろのべろべろ的泥酔なんであるからして、ご容赦たまわりたし。

飲み会会場は有馬の鮨の銘店、葵扇(きせん)寿司なんである。
過去一万回くらいここで飲み会をやったけれど、そのうち3回くらいは座敷で寝てしまった犯歴がある。今日も久々舟をこいでしまった。こっくん、ずるずる、ふにふに、すとん...。
睡魔に襲われたら最後、最初は抗うものの、やがて地獄に引きずり込まれること必至なんである。

「テッシー、お会計!」
はたと目が覚めた。ここはどこ?私は誰?的状況なんであった。若干胃袋の底辺あたりで不穏な空気を感じたものの、なんとかシャッキリ社会復帰、蟻地獄から生還し事なきを得た。

飲み会お開きの時にオヤジどもが忘れてはならぬ、三種の神器ならぬ、三種の指差し確認事項がある。飲食店の「ガス締めたか」「水道締めたか」「鍵かけたか」ではない。ショーケンの「前略おふくろ様」ではないのだからして。

「財布持ったか」
「携帯持ったか」
「煙草持ったか」
なんである。少年野球の場合はこれに加えて、
「帽子持ったか」
を加えても良し。
過去に筆者、この忘れてなるまじ四種全てを忘れたことがある。
筆者、へろへろになって帰宅。
家の前でバッグをまさぐる、家の鍵を取り出すために。
あらま、ないじゃん。バッグのありとあらゆるポケットを検証しても、ない。
はて面妖な。
おそるおそるドアレバーを引いてみる。

その音はゴンではなくカチャリだった。
九死に一生を得た気分だった。
ヤッベ、じゃあ、家の鍵はいずこへ?
家じゅうのありとあらゆるポケットを検証しても、ない。
さては葵扇(きせん)に忘れたか。

もう一度、重箱の隅をつつくように検分する。
あった。玄関の下駄箱の上にちょこりと乗っていた。

なんのことはない。
最初から鍵を持って出るのを忘れていたんであった。

酔っぱらいオヤジ諸氏、そんな経験ありませんか?
歳はとりたくないものだ(^-^)/

なわけで、全チーム開会式行進の模様は次回にて....。
一枚だけサービスカット。
宮前区長、野本さんの始球式(^-^)

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2016年7月14日木曜日

小説「月に雨降る」13

恭子は黙って話を聞いていたがやっと口を開いた。
「父子家庭になってそのあと子育てはどうしたんですか。だってうちみたいな職種の会社は公務員と違って、夜遅くまで残業とか休日出勤もあるし」
「ああ、それね。本当に運がよかったと思うよ。近くに懇意にしてる少年野球の仲間の家庭がいくつかあってね、うちの子を家に招いて、晩ご飯食べさせてくれたり、風呂に入れてもらったり。仕事帰りの夜に子どもを引き取りに行く時はもう恐縮で、今でも頭が上がらないよ。もちろんそれなりのお礼はしてるけど、どんなにお礼してもし足りないよ。もしもっと子どもが小さい頃だったらそれも無理だったろうな。俺は定時に帰れる仕事に転職するか、高知の田舎に帰って親と同居するかだったろうね」
薄くなったバーボンを飲み干し、グラスの氷をからりと音をたててコースターに戻すと続けた。
「その家庭って沖縄出身なんだけどね、沖縄の風土って家族愛っていうか、人とひとの絆をとても大事にする県民性があるんだな。たぶんそれって日本一だと思う。もちろん、そのほかの家庭もうちと温かく付き合ってくれてるんだ。それに甘えちゃいけないと思ってさ、徹夜明けの日曜でもなるべくグランドへ行って設営やったり審判したりしてるんだけどね」
「それってでも神島さんにそれだけの人徳があるからじゃないですか。神島さんだけじゃなく、周りのひとたちに恵まれる人っていうのは、その人に魅力があるからだと思いますよ」
「そうかなあ」
龍一は照れ隠しに真壁に声をかけ、目線と仕草だけで自分と恭子のおかわりの酒を頼んだ。真壁も無言で頷く。
「俺、人徳なんてなんもないよ。東京ドームの観客席の椅子一個ぶんくらいはあるかもしれないけど。俺は人が思ってるほど立派な人間じゃないさ。そういうことって自分が一番よく知ってるものだよ。逆に自分の醜い部分って自分が一番気がついてなくって、ひとにはあからさまに見えているもんだ」
「一般論としては私、その意見賛成です。でも神島さんに限って言えば、社内でも周りからの評価高いですし、知らないと思うけど会社の女子たちの間では神島さん意外と人気あるんですよ」
「意外は余計だろ。マジっすか。明日から俄然仕事やる気になっちゃうなあ。東京ドーム何個分くらい人気あるの?」
「えっ?ドーム何個分じゃなくて、ドームの中の観客席7席分くらいだな」
「五万五千席あるのに、そんだけ」
「そのうちの一個分は私が座ってる」
恭子は酒で赤くなった頬がまた少し赤らんだように見えた。龍一はとても素直に可愛いなと思った。いつの間に目の前には真壁が作った新しいグラスがふたつ置かれていた。
「でもさ、恭子ちゃん。今日は子どもたちどうしてると思う?たまたま田舎から親が遊びに来ててさ、朝、子らの面倒頼むよって言って出て来たんだ。もっとも中二になった息子はもう父子家庭に慣れたもんで、妹の面倒もよく見てくれるし、娘のほうも最近はしっかりしてきてね」
神島が何を言いたいのか、恭子は黙って聞いていた。
「少年野球を通じて助けてもらってる家庭があったり、そんなありがたい環境に恵まれてさ、それで俺はどうよ。子どもや、はるばる上京してきた親を放ったらかしにして、会社の可愛い女の子を誘って遅くまで飲んでるんだぜ。ひどい父親だよ。東京ドーム百個分の煩悩(ぼんのう)を抱えてるんだ」
「それってでも、人間らしく生きてるってことじゃないかな。別れた奥さんみたいに異常な場合は別として。今日いろんな話をいっぱい聞いたけど、ちゃんとやってるもん、神島さんて」
恭子の言うように本当にそうなんだろうか。龍一は二十代前半のあの記憶は片時も忘れたことはなかった。あの雨の日曜の灰色の情景がふとした時に蘇る。しかし反面、あの記憶を忘れるためだけに今日まで必死になって生きてきたようにも思う。人間らしく生きるってことって、いったいなんなのだろう。酔いも手伝って考えることをやめた。
「恭子ちゃん、あ、いや、恭子って呼んでもいい?」
一瞬目を丸くした恭子だったがすぐに、
「いつ、そう呼んでくれるのかと待ってたよ。今頃遅すぎだから」
「さっきさあ、観客席にひとり恭子が座っているって言ってたよね。その隣の席に俺が座ってもいいかな」
「今、もう、こうして座ってるじゃない」
恭子が龍一の椅子を指差すとそれを龍一はしなやかに握った。すぐに恭子はそれを強く握り返した。
勘定を済ませて外に出る時、マスターの真壁は相変わらず無表情だったが、珍しく目が笑っていたように思う。店内のビートルズはポールが歌うLet It Beに変わっていて、満月を横切る雲のようにゆっくりと流れていた。龍一の背中を『あるがままに』と押してくれたように感じた。そう言ってくれたのは果たして天の賢者の声なのか、それとも地の悪魔のささやきなのかはわからない。今の龍一にはどちらでもよかった。
階段を下りたところで恭子は龍一の左腕に右胸をさりげなくすり寄せて、腕を自然にからませてきた。その親密な円弧を描いた丸いものは、性急でもなく、かと言って慎重すぎることもなくぴたりと龍一に寄り添った。

山手線も日比谷線も終電は過ぎていた。ふたりは無言でタクシー乗り場とは違う方向にある、屋上のネオンサインが明滅する建物の、ほの暗い道へ歩いて行った。
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2016年7月11日月曜日

小説「月に雨降る」12

※小説「月に降る雨」とタイトルをつけたものの、ふと思い立ってこの題名で検索してみた。なんと同名の歌があった。THE BOOMの「月に降る雨」というのが。ネット小説にもあった。完敗である。いろいろ悩んだ末にここからは小説「月に雨降る」と改題したい。マイナーチェンジである。この差は実に大きいけど仕方がない。
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店が少し混み合ってきたころ恭子が龍一に訊いてきた。
「さっきの晴海のお店で神島さん、奥さんがいないって言ってたでしょ。初めて知りました。もし嫌じゃなかったら...」
「ああ、あれね。驚いた?」
「正直、はい」
「今の会社に入って数年経ったころ、俺、ちょっといろいろあってね、一時会社行かなくなったりとか。そのあと普通に結婚して普通に子どもができて、普通に年をとっていったのさ」
真壁は気を利かそうとしたのか、カウンターの端の別の客のほうへすっといなくなった。
「普通に結婚したんだけどただひとつ普通じゃなかったのは、奥様は...何だと思う恭子ちゃん」
「奥様は魔女だったのです、なんて」
「よく知ってるね、その若さで」
「もちろんリアルタイムじゃないし。昔のアメリカドラマなんかユーチューブでいくらでも観れるもん」
「だよなあ。実は俺もそうなんだけどさ。でね、本当のところは奥様はやっぱり魔女だったんだよ」
「えっ?」
「魔女って言うより魔人かな。または、鉄人別人奇人変人超人」
龍一はざっと話し始めた。
二十代後半ある女と出会い勢いで結婚した。昔から結婚は勢いでするものとの格言があるが、それを地でいくようなものだった。龍一はその数年前の経験の記憶を払拭しようとした不埒(ふらち)な動機もあった。結婚してしまえばあの記憶から逃げることができるかもしれない。そして結婚して一男一女をもうけた。普通の家庭だった。しかし子育てが一段落したころ妻が徐々におかしくなった。私の結婚はこれで良かったのかななどと言い出し、人の不幸を悲しむよりも自分の幸福だけを求めるような、人並みはずれた自己中心主義的な女になった。龍一が徹夜続きで仕事をし精神的に限界近くになった時も、妻として慰労の言葉もないどころかそれを全く察することもなく、クレジットでいくつものブランド品を買ったり、近所のサークルで知り合った男女の仲間と深夜まで飲んだくれたあげく、翌朝子どもが学校へ行く時間になっても起きずに昼まで寝たり、そのうち週の半分は飲み歩き金を湯水のように使うようになった。料理はちゃんとしていたのだが、おかずを4品も5品も大量に作っては自己満足していた。ある晩遅くに帰宅したとき、食卓に置かれたその山のような晩飯を前に龍一は言った。
「俺の安月給で申し訳ないと思うけど、家計に余裕はないんだし俺こんなに食べきれないし、残したらもったいないだろ。もう、いい加減にしろよ」妻は言った。
「あたしのすることにいちち口を出さないで」
「マジで言ってんのか。とんでもない自己中だな」
「ええ、すいませんねえ、どうせあたしは自己中よ。だってこの世で自分が一番可愛いもの。あたりまえじゃん。それがどうかした?」
思いもよらないほど急激に龍一の視界からこの女の姿が遠ざかっていった。龍一の瞳に映ったその姿は醜い怪物だった。その晩から拍車をかけるように毎晩のように飲んでは深夜に帰宅し、床に倒れ込んだまま着替えもせずに朝まで寝たりするようになった。テレビに映る政治家やお笑いタレントを見ては「こいつ大嫌い」とぶつぶつ文句を言い、反面こと自分のことは全く反省するそぶりもなかった。頭がおかしいわけではないことは龍一も理解はしていたが、やはり尋常ではないことも確かだった。医者に行くことを強要すれば「いちいちあたしにかまわないで」の一点張りで、ますます固い鎧を身にまとうようになった。愛想を振りまく才能には長(た)けており生まれつき外面(そとづら)だけは良いので、龍一以外の周囲の友人や付き合いのあるサークルの連中には全く気づかれなかった。異変を感じ取っていたのは龍一と小学生の子どもたちだけだった。
ある日残業がなく早めに帰宅すると、妻は家を出て行ったあとだった。漢字が読めるようになった息子が食卓を指差して言った。「これ何?」食卓には緑色に印刷された紙切れに判を押したものがひたりと置いてあった。龍一はあの日を一瞬思い出しまたかと思ったが、あの時のような喪失感は全くなかった。自分はともかく子どもまで捨てた女を追うつもりはなかった。むしろ清々しささえ覚えた。龍一はひとつため息をついてつぶやいた。
「俺にも非はあったかもしれないけどさ。とうとう父子家庭かよ」
息子に向き直って言った。
「これからおまえたちに辛い思いをさせることになるけど、ごめんな。すまない」
娘は少し離れたドアの陰から怯えた小動物のようにこちらをうかがっていた。息子が言った。
「お父さん。この『離婚届』は読めるけどさ、今言った『ふしかてい』って何?」

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