ネアンデルタール人のように髪の毛ボーボーの筆者は今日やっと床屋で髪を切ってもらったんである。ただでさえ少ない髪の毛をばっさり、ちょっきんされるのは、なけなしの小銭を神社の賽銭箱に放り投げるような気分だ。しかし、夏の冷たいシャワーと夏の散髪は気持ちのいいものだ。髪を切った日の夜の洗髪がまた気持ちいい。短時間でシャキッとシャンプー出来ちゃう感覚、ワカリマスネ(^-^)
平日ヒマになることほど自営業者にとっての恐怖はない。死ぬほど仕事が忙しくても決して死ぬことはないのだが、死ぬほどヒマになると本当に死ぬことを考えてしまうのが自営業の定め。大袈裟な表現ではないんである。順風満帆の自営業者と、満帆商事の庶務2課と、会社勤めのサラリーマンと、生まれつきのブルジョワジーには絶対分らないだろう。ここんとこずっと土日返上で仕事に没頭したのだから、平日一日空いたのはやっと俺にも日曜が巡ってきたのだと自分に言い聞かせて、バイクを駆り床屋へ行きTSUTAYAを覗き、最後は地元のBOOK OFFへ。このところハマっている奥田英朗の小説2冊とサザンの「バラッド3」を購入。TSUTAYAディスカスでこのサザンを予約したのはいいが、「お届け率50%」で待てど暮らせど来やしない。業を煮やして大枚をはたいての購入を決断したのだった。奥田英朗は他に「邪魔」の上下巻2冊にも食指が動いたが、来週お盆には全品20%OFF!の張り紙を見て、やおら本棚に戻した。来週また来ようっと。
今日書こうと思ったことはこれからなんであった。
過去にこの小ブログに書いたかもしれない話。電車に乗り腰痛で座っていたけどご老人に席を譲ったことや、満員電車で痴漢と思しき男の胸をグーパンチで殴り怒号を浴びせたことや、バス車内で見かけた少年の微笑ましい話や....。
今日もそんな日々雑感的な話。
先日、秋葉原のクライアントでの打合からの帰り、帰路の電車乗り継ぎは大井町であった。京浜東北線を降り東急大井町線に乗るため駅と駅のあいだを急いで歩いていたんである。バスロータリーでは思い思いの格好でスマホをいじる疲れた顔の男が数人、壁にもたれて日陰で暑さをしのいでいた。
そんな折りちょうど目に入ったのはロータリーに終点で停まったバス。後部ドアが開きっぱなしですでに乗客は降りたあとだった。空っぽの車内を運転手が点検に走っている。
ん...?
ゆっくりゆっくりと、かなり高齢と思われるおばあさんがバスの出口から降りようとしている。でも何か様子がおかしい。何か逡巡するように立ち止まっているのだった。手にはキャリーケース。はっとしたと思う間もなく脱兎のごとく瞬時に私は老人に駆け寄った。こういう時にとっさに行動に出る自分に自分で驚くことがある。キャリーケースが重たくて降りれないのだろうと判断。私は左手に持っていた小説を脇に挟み、右手のバッグをバス横の地面に落して老人に右手を差し出した。
「おばあちゃん、大丈夫ですか。ひとりで降りれますか?」」
老人は蚊の鳴くような声で「ありがとうございます」と微笑んだ。でも頑に降りようとはしない。若い人にとっての階段の段差20センチは老人にとっては1メートルにも感じるものだという話を思い出した。ならばと私はおばあさんが手にしていたキャリーケースを掴み、これを持ってさしあげるから、ゆっくり降りて下さい、という意味のことを言った。しかし老人はこれも頑に手放そうとしないのだ。むしろ一瞬顔をこわばらせたような表情を読み取った。
改めて私が掴んだキャリーケースを見た。
キャリーケースではなかった。
腰が曲がり歩行能力がままならない老人が押しているよく街で見かける、あの簡単な鉄パイプに小さな車輪の付いたものだった。専門用語は知らない。
私は親切心からとった行動だったのだが、彼女にしてみれば杖同然の手足の一部になっているそれを奪い取られると思ったのかもしれない。1メートルの高みに立たされて身ぐるみ剥がされるような気持ちだったのかもしれない。
はっとそんな思いに至った私は本を小脇に挟んだ左手でその歩行器具を持ち、右手でおばあさんの手を握りそろりそろりとバスのステップをゆっくり時間をかけて地上に降ろそうとした。背後からバタバタと足音が聞こえた。例のスマホをいじっていたサラリーマンの誰かひとりがこの光景を見て駆けつけてくれたのだった。捨てたもんじゃねえぞ、この東京の男ども。彼が歩行器具を持ち私はおばあさんの手を...。
「おばあちゃんここからは大丈夫ですか?」
別れ際彼女はまた消え入りそうな声で「ありがとうございます」
とぼとぼ、よぼよぼ歩く後ろ姿に後ろ髪引かれる思いでやっと私も帰路についた。
親切の押し売りという言葉がある。良かれと思ってとった行動が相手にとってはありがた迷惑だったりもする。情に竿させば流される、とかくこの世は住みにくい。知らなかったとはいえ、老人の手から自分の分身に等しいであろう物を取ろうとした私に、少しではあるけれど自戒の念が頭を離れない。
これには最後のオチがある。最後はバカブログ「晴耕雨読」的に締めくくりたい。
おばあさんの降車に協力している時、運転手は車内点検に余念がない。我々を一瞥してこう言い放った。マニュアル通りの声で。
「お客様へのご協力あ〜りがとうございま〜す」
筆者ココロの中で静かに毒づいた。
「協力?車内点検より真っ先にオメエがご老人に手を貸すべきだろっ!」
彼はおばあさんが乗車の際に尋常ではないほどの歩行困難な様子を目の当たりにしているに違いないのだから。
それにしても、そこまでして一人、いや「独り」向かわねばならなかった行き先、要件はなんだったのだろうと、またまた思いを巡らせてしまうのだった。
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