5月11日
「はあ〜、頑張ったんだけどなあ〜」
横浜DeNAベイスターズガールズのセレクションの選に漏れたIchikaはため息をもらした。
同じQueensの女の子と一緒にベイスターズで野球をやりたかったのに。がっかり...。
そんなIchikaのもとにもう一度別のチャンスが巡ってきたんである。同じ日本野球機構主催のNPBガールズトーナメント。全国の学童野球女子が一堂に会する一大イベント。いきなりの全国大会である。
「ようし、頑張るぞっ!」
6月9日
神奈川県下から70名の選手がセレクションに挑んだ。選抜は20名の狭き門。
緊張した。でも大好きな野球だもん、一生懸命に頑張った。全力でベースを駆け巡った。思い切りバットを振った。疲れたけれどあっという間の一日だった。
後日彼女の元に朗報が届く。父も母も自分のことのように笑顔がはじけている。
こうして向丘サンダース(=宮前Queens)のIchikaは晴れて神奈川県女子代表チームの一員となったんである。
チーム名は神奈川「Yamayuri」
楽しい仲間がいっぱい、すぐに友達になった。「良い仲間や指導者にも恵まれて...」とお母さんが言っていたけれど、「恵まれて...」?意味がよくわからないなりに、なんとなくこれは凄くいいことなんだと勝手に思うIchikaであった。
境川遊水池での練習は9回にも及ぶ。Queensも楽しいけれど新しい仲間と一緒に野球をやるのも新鮮で、毎回練習に行くのが楽しかった。
8月10日
神奈川代表としてまずはガスワンカップという大会に臨んだ。埼玉を本拠とするガス燃焼、いや、年商544億円の大手ガス会社が主催の関東圏の大会だ。
初戦は地元埼玉代表チーム。でもIchikaはベンチスタート。試合は乱打戦の模様を呈し、最終回にチャンスの場面で監督から代打を指名された。とたんに心臓がばくばくする。打席に立ち思い切りバットを振った。打球が遠くに飛んで行くのが見えた。やみくもにとにかく二つベースを蹴った。タイムリー3塁打!1打点!
結果は12-10の僅差で神奈川Yamayuriが勝った。
二回戦は栃木代表との試合。1番ショートで先発するも結果は8:16で負けちゃった。
でもすごく楽しかったに違いないIchikaであった。
8月17日
一週間が経ちいよいよNPBガールズトーナメントの全国大会である。夜に行われた開会式は東京ドーム。プロ野球真っ盛りの間隙を縫ってこんな民間の開会式や試合でドームはスケジュール目白押しなのである。名物看板の長嶋さんが「Secomしてますか?」と語りかけてきたけれど、筆者はSecomするほどの財産がないし、そもそもSecomの料金すら払えないので丁重にお断りした。そうだ、ならば今度セレブなKasaharaさんか連盟の資産家Sasakiさんを紹介してあげようか。
8月18日
初戦は宮崎県代表の延岡ガールズ。今、甲子園でも旋風を巻き起こしているあの延岡だった。筆者も一度仕事で行ったことがある。
Ichikaはまたベンチだったけれど仲間がばんばん打って9得点。自分も先発メンバーも一緒になって湧きに湧いた圧勝だった。9:2で勝ったぞ。また明日がある。
8月19日
今日は2回戦。相手は群馬代表だ。7番サードで使ってもらった。カリナかナナオかと思われるほどモデル並みのスタイルのIchikaは、宮前Queens仕込みの守備体勢で三塁を守る。
しかしチームは打撃で競り負けた。結果は8:12の惜敗...。
記録的な暑さの中で戦い抜いた4試合。
終わった瞬間、「もっとこの仲間で野球がしたかったよお」とおいおい泣く子。
「でもまたどこかの大会でみんなと出会えるよね」と白い歯を見せて笑う子。
悲喜こもごもの中、全員で帽子に名前を寄せ書きした。
最後はYamayuriの代表をみんなで胴上げした。
コラーゲンもヒアルロン酸も関係ない。だってアタシたち野球が好きで仲間が大好きで、顔が真っ黒に日焼けしちゃっても平気だもん。
最高の想い出を心に刻んだのは、Ichikaたち子どもだけじゃない。その保護者、父母たちも同じ想いだ。
「ありがとう!みんな」
Ichikaはこのひと夏の経験を胸に、またQueensに戻って気持ちも新たに頑張るぞと思うのであった。女子野球はこれから秋、冬にかけて本番の大会が待っている。
そうだ、横浜ベイのみんなはこれからが大会だ。Himari、Hinata、Noeri、の3人も頑張ってね。それに、惜しくもセレクションに入れなかったQの仲間の分も含めて、頑張って!
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Queens広報の筆者Tから一言ふたことの言い訳。
Qの子らが二つのセレクションに受かっていたのは知っていて、大会が気になってはいたんであった。会場が遠いのと仕事が忙しいのとフレンズの試合予定とのカラミで、たぶん観戦には行けないだろうなと思っていた。せめて31日の横浜ベイスターズガールズは行きたいと考えているけれど。
先日Ichika母から突然メールがあった。QのKasaharaさん経由で写真を送りたい....と。
ぴんと来たんである。例によってQueens代表Kasaharaさんが暗躍して筆者に写真を送りなさいと言われたのではないか?
すぐにメールを返した。全然OKですよと。出来ればほんの少しコメントも添えて送ってもらえればありがたし。写真だけではブログは書けないからだった。「少し状況が分ればあとは私がうんと膨らまして書きますから」と。
今日約束どおり、写真を添えて簡潔で試合状況の分る文章と、ほんの少しの感想を書いてメールが来たんである。
今日は仕事が一段落して気持ちに余裕があったせいもあり、シャワーを浴びながらどんな構成で文章を書こうかと思案。待てよ、Ichikaとは話したこともなければ性格も分らないぞ。うん、でもいいや。彼女目線と筆者目線の二つの視点を混在させて書いてみようと決断。また、同じ6年生で実力がありながらも惜しくもセレクションの選に漏れたQの姫たちもいるがどう配慮しようか?...でも甲子園でベンチに入れなかった3年部員がスタンドで声を涸らして共に仲間を応援する姿が脳裏に浮かび、きっと姫やその親も分ってくれるに違いないと無理矢理自分を納得させて執筆を開始したのだった。
というわけで、筆者は全然試合を観ていない。Ichika母の確かな文章だけは曲げずに心境面を10倍くらい膨らませて書いた。よって、多少の誇張と間違いはあるやも知れず。ご承知おきのほどを。
しかし、最後の試合のあとの胴上げ前の女子の言葉は事実をほぼそのまま引用した。
このブログの一番のハイライトは、彼女たちのその言葉だったから。
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