2020年12月24日木曜日

新国立競技場

 二ヶ月前からチマチマと断続的にやっていた案件が、いよいよ本格的にスタートすることになり、23日は朝から信濃町の現場打合に行ってきた。元赤坂の由緒ある大きな結婚式場の改装案件であった。現場視察後「良いお年を」なんて交わしながらクライアント担当者らと別れて、暖かな陽射しが降り注ぐ道を千駄ヶ谷方面へ歩きだした。駅へ向かわなかったのには訳があった。

実はこの現場打合が決まってからすぐに、もう一つ予定を組み入れたんである。信濃町から千駄ヶ谷へ行く途中に絵画館がある。ここは2015年フレンズが全国大会へ行った時、神宮球場へ行く前に駐車場として停めた場所がこの絵画館前広場であった。幕末から明治維新へ移る過渡期、明治天皇始め、歴史の貴重な当時の名画を集めた絵画館なんである。広場では何かのモデルの動画撮影や、野球部員の大学生らがキャッチボールしていたり、ランニングしていたり。絵画館建築は国会議事堂と広島原爆ドームを彷彿とさせるイメージだった。









これを右手に見て歩を進めると見えてきた。今日の目的の新国立競技場だった。本来なら東京オリンピック2020が開催され、世界中のアスリートたちの「強者どもが夢の跡」となっているはずだった。しかしコロナ禍で来年へ延期となったことは周知の通り。一度完成したものの、更に改修を重ねるため工事が入り、仮囲いで中へ入ることはできない。競技場内の見学は無理でも、せめて周囲を巡らす遊歩道に上りたかったけれど残念である。

1.8mある仮囲いの上に両手を伸ばしカメラを向けてシャッターを切った。青山ゲート前には前回東京オリンピックの際の聖火台が鎮座していた。

フランスの女性設計者がコンペに勝って決まった近未来的案がどえらい金がかかるとなり、物議を醸したあと、予算縮小のため再コンペ開催、ようやく決まったのが隈研吾氏の新国立競技場だった。大きな特徴の一つは軒庇の木材。全国各都道府県から集めた木材をスライスしルーバー状に配列したものだ。しかし一番上の屋根の青空との境界線を見て少しガッカリ。円弧状のラインはパイプを曲げて加工したのではなく、円弧状の定点を直線のパイプで結び、その下に木材の庇が設置されている。それが為に円弧は滑らかな曲線を描くことなく、カクカクしたぎこちない境界線を形成していた。技術的にはパイプを曲げて綺麗な曲線を描くことは、日本の建築技術は世界最高水準であり、十分可能なはず。予算削減のためか、理由は理解できないけれど実に残念だった。青空と曲線なら有機的な融合が実現したであろうに、これでは直線が目立ってしまい、無機的な感が否めない。せっかく自然の木材を使っているのに。直線の集合体にしたのには何か理由があるのだろうけれど、筆者的には残念である。下の写真の屋根のR部分(曲線部分)を拡大して見てみてちょ。カクカクしてるのがお分かりだろうか。「画竜点睛を欠く」って言うか、「建築の神はディテールに宿る」って言うか。

しかし、来年のオリンピックは楽しみだ。たとえコロナで規模縮小されたとしても、筆者が生きてる間にはもう日本でオリンピックを観ることはないだろうから。今年まだオリンピックが延期に決定する前、コロナ中にネットで新国立競技場のサッカーの試合を申し込んだけれど、その後コロナ延期になりあれ以来梨の礫である。ちなみに男子サッカー決勝はサッカーの聖地であるこの「国立」ではなく、日韓W杯同様横浜である。女子サッカー決勝はこの新国立競技場となる。願わくはコロナが一向に収束せず規模縮小だけに止まらず、まさか中止に追い込まれないように、だ。

神宮球場のセンター電光掲示板の裏を通って青山方面へ。

テレビドラマやニュース映像でお馴染み、外苑の銀杏並木を散策。有馬のイチョウはまだ少し葉が残っているので少し期待して行ったのだったが、ここはもうすっかり散ってしまい、イチョウのトンネルと黄色い絨毯を踏みしめる快感は望むべくもなかった。歩道の両サイドの並木のイチョウの散り方は左右で全く違う。片側はすっかり落葉しているが、もう片方はまだ少し残っている。これも日照時間の関係か、或いは南に近い樹が先に落葉しているが、何か理由があるに違いない。

青山一丁目と外苑前の中間の246に出た。青山一丁目へ行ってHONDA本社のスーパーカブなんかを見て帰るか、或いは数年前に仕事した外苑前の店舗を見て帰るか迷ったけれど、自然と外苑前駅方面に足が向いた。どっかで昼飯食って帰ろうと。ラーメン一杯¥700で十分なのに、ちっぽけなハンバーガーランチ¥1980なんて看板をゲンナリと見過ごして歩いているうちに、いっそ表参道まで歩いちゃえって気になった。結局総武線信濃町駅から徒歩で表参道まで走破したことになる。運動不足の筆者にしてみれば上出来だ。これも珍しく穏やかな冬の日差しの快晴が招いた快挙だった。

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