2016年10月12日水曜日

小説の御法度

まだ完結していないのにもかかわらず、小説「月に雨降る」の仕掛けやカラクリや、登場人物のモデルの有る無しなどについて書いてしまうのはもちろん御法度ではある。しかしたまに小説のことを訊かれることがあるので、ほんの一例だけつまびらかにするとすれば、あるにはある。例えば、龍一の出身地は高知となっているけれど、筆者のそれは山形なので架空の設定。龍一の勤める会社「T&D」が恵比寿にあるというのは、筆者が個人設計事務所を持っていた頃、それは恵比寿だったので半分は事実に基づいた話である。ちなみに龍一が恭子と行く恵比寿のバー「Maki」は、当時何度か通った恵比寿神社の横にあったバーがモデルで本当なんである。ただし店名の「Maki」は創作である。Makiには理由があって明かせないけれど。更にマスターの恐ろしく無口な真壁という男はそのバーの本当のマスターがモデルだ。でも真壁という名前は架空。真壁は筆者の結婚前の実名なんである。


タネ明かしをすればきりがないのでここまで。でももう一個だけ。
作中に出て来る子猫の「サチコ」は筆者が昔飼っていたニャンコがモデルになっている。結婚当時恵比寿に住んでいた時から同居していたキジトラの可愛い猫だった。名前は「ももこ」

この「ももこ」を筆頭に次に飼ったのがやはりメスニャンコの「ぴあの」。黒猫だったので当時息子がピアノの黒に着想を得て名付けた。この「ぴあの」に関しては昔失踪した顛末を数回に分けてこのブログでも書いた。「ぴあの」で検索すれば出てくると思う。
リンクはこちら。文章がまだ若くて稚拙(ちせつ)なのはご愛嬌と許されたし。
「ぴあの」

更に現在同居しているのはワンコのミニチュアダックスの「りん」
りんが若い頃に撮って加工した写真がこれ。今は人間で言えばおばあちゃんである。

先日配偶者に代わって久しぶりに「りん」のシャンプートリミングをするべく、近所のペットショップ、有馬の「ペットフォレスト」へ連れて行った。ぽっちゃり系の可愛いトリマーのお姉さんが応対。その間店内のケージを巡回してみる。はあ、なんて動物って可愛いのだろうと、感慨を新たにする私なんであった。

ワンコやニャンコが展示されているそのケージを巡回していると「この子だ!」と思ったニャンコに出会った。
イメージ通りのキジトラではないけれど、こんな子猫が小説「月に雨降る」作中の「サチコ」のイメージなんであった。
iPhoneでパチリ。
左手の肉球をチラ見せしつつ、右手を折り曲げ胸の中に押し込み、目を細めて眠る姿のなんと可愛いことか。
シャッター音に反応して一瞬目を開けて筆者を見つめてきたが、「また人間どもが写真撮っているのか」てな顔して眠たげにすぐまた目を閉じたのだった。

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2016年10月11日火曜日

小説「月に雨降る」26

奈津子は顔を上げて言った。
「あの子はそんな小さい頃のこともあなたに話したの」
希伊からはそんな虐待された話など何も聞かされていなかった。龍一の直感だった。たぶんこの人も幼い頃同じ体験をしてきたのだろうか。天童荒太や重松清などの家族小説で学んで知っていた。幼児期に虐待を受けた者は大人になってから自分の子にそれを繰り返す傾向があるということを。龍一も子どもの頃は厳格な父親が怖くて悪さをするたびに何度も頭を叩かれたりしたが、それを虐待と思ったことは一度もなかった。虐待にはある種の「憎しみ」が伴うのもなのだろうか。ましてや、この人は血の繋がりのない他人の子の養育を強引に押し付けられたのだ。しかしだからと言って虐待が看過される理由には絶対ならない。
幼児期に刷り込まれた虐待経験は繰り返す。
希伊がなぜこのことだけを俺に話さなかったのか。希伊がなぜ結婚や子どもをつくることを嫌がったのか。今やっと氷解したのだった。希伊が自分もそれを繰り返すことになる「負の連鎖」の可能性を怖れて、言い知れぬ暗澹(あんたん)たる不安があったのだろう。
もうここにいる意味がなかった。早く外の空気を吸いたくなった。
「今日は失礼しました。最後にもう一度訊きますが、希伊の消息はわからないんですか」
奈津子の虚ろな目は赤く充血して、宙を彷徨(さまよ)っているようだった。
「私も知らないの。あなたの言う二週間前の日曜にここへやって来て、私はこれから消えます、捜さないで、法的にもちゃんと離縁の手続きをして下さい、と言って出て行ったわ。主人もさすがに諦めたようで仏頂面で見送ったの。それと...」
「それと」
「最後に、もしかしたら神島という男性が訪ねて来るかもしれないけど、会わないでちょうだいって。なぜなら...」
「なぜなら」
「こんな親、恥ずかしくって彼に会わせたくないからって。しばらく沈黙したあとあなたのことが胸に迫ってきたみたいで、突然泣き叫んでここを出ていったの」
龍一は呆然とした。
失礼しますと言い置いて、奈津子を振り返らずに辞去した。どこをどう歩いたのか分からないまま、気がついたら奥沢神社の鬱蒼とした樹々に囲まれた境内にいる自分に気づいた。奈津子が言った最後の希伊の話を胸の中で反芻してみる。喉の奥が誰かにぎゅるりと捕まれたように締めつけられて、次第に下瞼から熱いものがほとばしり出て頬を伝った、とめどなく。それは突然の夕立がやってきて地面に大粒の雨が落ち、たちまち灰色の斑点を作るように、龍一の足元にぼたぼたと音を立てて落下していった。この涙がやがて大きな川になり、日本のどこかにいるだろう希伊の元へ流れて行って欲しかった。今の自分の想いを伝えるために。そこまで思い詰めていた希伊を救ってやれなかった自分を責めてみたが、あの時の自分も今の自分にもどうすることも出来なかった。自分の元を去り更に永山家とも縁を切った今の希伊は、文字通り天涯孤独の身になっているはずだ。その胸中を推し量るとますます胸を締め付けられる思いだった。

誰もいない境内の大きな銀杏の樹の下で途方に暮れて佇んでいた。どれほどそうしていたのだろうか。地べたに膝をつき肩を落としている龍一の背中を後ろからそっと触れる気配があった。驚いて振り返ると先ほどの家政婦が神妙な面持ちでいながら、優しい視線を龍一に投げかけていた。
「私は家政婦の城崎かな江と申します。先ほどは失礼いたしました」
立ち上がった龍一の頬に残されたその形跡を見て取って、かな江はそれが何を意味するかを理解したようだった。
「あまり時間は取れないのですが、少しお話をよろしいでしょうか。良かったらそこの階段に腰掛けませんか」
見るとすぐそこに立派な拝殿があり、中央に三段ほどの階段が設(しつら)えてあった。龍一は立上がり顔を両手でごしごしとこすりながらそこへ歩み寄った。かな江もあとから並んで座った。

「失礼とは思いつつも、先ほどの会話はドア越しにだいたいのことは聞いておりました。申し訳ございません。普段ならそんなことは一切しませんけれども、こと希伊ちゃんに関わることですから居ても立ってもおられず、ついテレビドラマのようなまねをしてしまいました」
そう言うかな江はにっこり笑みを浮かべて龍一を見つめた。
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時間をリバース

かなり前のブログで荻原浩の「明日の記憶」の話を書いたと思う。
小説を読み、映画も観た。私の好きな小説の一冊であり、好きな映画の一本でもある。主演は渡辺謙と樋口可南子。若年性アルツハイマーの話ではあったのだけれど、ハッピーエンドには至らない、苦悩の恐怖小説だと思った。そんじょそこらのB級ホラー映画を凌駕して余あるものだった。もし私がうんと若い頃に読んだならば、また別の感想を持ったかもしれないけれど、当時の読後感や観賞後は戦慄が走ったものだった。夕日に赤く染まった渡辺謙と樋口可南子のラストシーンは今でも瞼に焼き付いている。若い頃ならば自分とは無関係の単なる感動的な名画として記憶に残るだけだったかもしれない。しかし当時働き盛りの年齢だった私には、いつ自分にも襲いかかるかもしれない恐怖として捉えたものであった。
それが、まさか自分ではなく身近な人間がそうなった場合のことは当時は考えもしなかったけれど、仮にそうなった場合....また別の違った意味での恐怖が胸の底からじわりと迫って来るものである。
....................
そんなこんなでここひと月ばかりは、少年野球にまつわるブログを書いていても、或いは小説をアップしていても実は心はどこかうわの空だった。満月の夜に空を見上げる狼男のような、またはパリからの帰国便で観た、ジェーンフォンダが親子で共演した映画「黄昏」(たそがれ)のような気分である。地に足がついてなく気分だけは張りつめていても、時間は地球の自転軸に従ってゆっくりと、しかし確実に過ぎてゆく。地球の回転を逆戻りさせることはたぶん私には出来ないと思う。
....................
重たい話はここまでにしよう。いつもの少年野球「晴耕雨読」的ブログに戻りたい。三連休明けの出勤途中の電車でこんな話を読ませてしまうことは筆者の本意ではないし。

さてフレンズはオレンジボールを想定外の快進撃で予選リーグを突破し、巴戦を回避しついに決勝トーナメント進出を果たしたんである。巴戦を回避して一番喜んだのは連盟事務局なのかもしれないけど。フレンズLINEにNakamura事務局から報告があった。久々に盛り上がったLINEに乗じて監督Itohくんからも宮前連合チームも勝ったとのコメントあり。その後11回の死闘の末勝利したベイスターズファンのNatsuki母のコメントを皮切りに、良い意味で不毛のオバカなLINEのやりとりが怒濤のごとくピコピコ鳴った。フレンズらしい会話の応酬で読んでいて微笑ましかったんである。

更に淋しい知らせと明るい希望。
Q監督Koshimizuさんから一斉メールがあった。宮前Queensは6年最後の公式戦を闘い無念にも惜敗。しかしそのあと苦悩の末の決断であったろうと想像に難くないKoshimizuさんの文章には、来年も監督を「続投」するとの文字が並んでいたのだった。シーズン半ばから来期は監督を辞退すると公言していた監督だったが、「苦渋の英断」だったのではなかろうか。いずれにしてもQueensにとっては朗報、いや吉報であった。先日の連盟主催秋季懇親会で会長SohmaさんがMurata代表と筆者に言っていたことがいまだに耳に残っているんであった。
「Koshimizuさんが監督じゃないQueensはQueensじゃないよ」
....................
前回までの小説は果たしてどこまで記憶に残っているんであろうか。
ここらで一筆「ここまでのあらすじ」的な要約を書いたほうが良いかもしれないとは思いつつ、ちょっと気分的に食指が動かずやはりそのまま掲載したい。希伊を探し求めた龍一が自由が丘の実家に行き、育ての母親奈津子と対峙した場面までであった。
このブログのあと「月に雨降る」を久々に載せるんである。
※読者諸賢のみなさまには、ブログ順番的には上の小説を読んでから、下のこの記事を読むことになるけれど致し方ないわけで。地球の自転や時計の針を逆戻しすることはやはり不可能なんである。

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2016年10月9日日曜日

宮前オトコたちの懇親会

今更言うまでもないが、宮少連とは宮前区少年野球連盟の略称なんである。
ことのほか騒ぎ立てることでもないが、川少連とは川崎市少年野球連盟の略称なんである。
さて、では神奈川県少年野球連盟は....。
転じて山少連は?「山形県少年野球連盟」なのか「山梨県少年野球連盟」なのか「山口県少年野球連盟」なのか。寝付けぬ深夜にそんなことに思いを馳せていると、ますます眠れなくなるんであるからして、読者諸兄は気をつけられたしなんである。その他にも眠れぬ夜の真因(しんいん)はそこかしこに転がっているわけで、うっかり油断は禁物だ。

さて宮少連による川少連の秋季大会の壮行会が行われた。毎年宮前区少年野球の士気を高める連盟主催の式典なんてゆうより、懇親会なんである。しかしただの飲み会と軽んじてはいけない。連盟内チームの横の繋がりやオトコ同士の付き合いが深くなる最大の利点があるのだ。これ、以外と大事。「飲めばワカル」と言ってなんでも酒の勢いを借りて解決できるとは思わないが、反面飲めばオトコ同士理解出来ることも少なくないのも事実なんである。飲めなくともこういう場で見知らぬ人と懇親を深めることは貴重なことであるし、運命の恋の出会いがないとも限らないではないか...野郎同士、そりゃないか。

さて例によって写真中心のブログでご容赦下されまし。
連盟広報ブロガーとしては極力各チームの写真を掲載したいわけであるからして、勢い文章量は抑えないと長丁場を耐えられないわけで。近年のF1レースにおいて勝敗の鍵を握るのが燃費だったりするのと似ているんである。ピットインするように時々コメントを加えたい。

来賓挨拶は神奈川県議持田さんや、衆議院議員山際さん代理秘書の女性が登壇。
パンカ〜イなんである。
妙齢の女性秘書さんとのツーショットは既に会長のルーティンワークである。

ほどよく酒が体と舌に浸潤した頃を見計らい、各テーブルを遊撃してみる。こんな時ドローン撮影出来るならば面白いと思うけれど、いわゆる「楽屋受け」にしかならないだろうか。これをご覧の野郎どもの奥様方に申し上げたい。オトコたちはこうやって宮前の少年野球を支えているんである。少々飲み過ぎて遅くに帰宅しても大目にみて下さいませ。

全テーブル回れたかどうか。たぶんイケテルはずだ。


しばしご歓談を。
しばしご歓談のあとは各チームの登壇。今季秋季大会の総括やまたは川少連大会への意気込みを語る。フレンズはだいたいこのスピーチが伝統的に下手だ。そこがまたフレンズらしいと言えなくもないのだが。チーム五十音順で登壇だけど写真掲載順番は逆になるかもしれない。

今季不甲斐ない成績だったからか、ヤングは驚きの、監督Kurosuさんのみの独白マイクパフォーマンスだった。気持ちは分かる。

神木マーキュリーズ。不死鳥のごとく蘇ったチームである。それはまるで「神ってる」わけで。スタッフ指導陣に敬意を表したい。来年は6年生が多くなり熱く未来を語っていた。全員回れ右をしてもらい広報カメラマンのレンズが「神」を捉えた。あと二人いれば「七福神」となったのだが。

どんどん行っちゃう。

特筆である。富士見台ウルフなんであった。今季は特別の年だったことはご周知のとおり。全国ベスト3という宮前少年野球の金字塔を打ち立てた。浪々と流れるモルダウ川のようにウルフらしい滑らかな滑舌の司会のもとチーム紹介、最後は名将Ogasawara監督の挨拶。チームを支えた連盟や審判や他の多くの応援に駆けつけたチームなど、周囲の人々に対する感謝の念を終始一貫し述べていた。最後には昨年フレンズが全国への道筋をつけたことで、それを追いつき追い越せとここまで頑張って来れたことで、逆にフレンズへの感謝の言葉までいただき、レンズを向けながら筆者は恐縮してしまった。

どんどん行っちゃう。



ここからは連合チーム紹介。Queensは宮前スマイリーズというチーム名でジュニアシスター大会に参戦する。あの伝統の真っ赤なユニフォームが復活する。連合参戦の時だけ赤いユニフォームで臨むんである。筆者もQueens広報として末席に並ぶ。(末席のくせに位置はど真ん中であったが)マイクはMurata代表。Sohma会長はQの相談役である。

連合チーム5年宮前クラブJr、6年宮前レジェンド、6年宮前ヤンキース。
クラブJrの監督Hirataさんから驚きのコメント。今年は絶対優勝すると。もし出来なかったら頭を丸めるとまで言い切ったんである。
....更にもし出来なかったら渋谷のスクランブルを逆立ちして渡り、全裸で国会議事堂の周りを一周し、そのまま東京スカイツリーからパラシュート無しで飛び降りて、最後に豊洲市場の地下空洞の水を一人でかき出してみせるとまで宣言しちゃったんである。
(※....以下は筆者の妄想である)


オオトリは6年連合宮前クラブ。名将Matsui監督から熱いコメント。

おまけ。メイツKimura監督とフレンズ監督Itoh。

お開きである。
しゃんしゃんしゃんで締め。

今年も宮前単独チーム、連合チーム全ての活躍を期待したい。
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