2020年4月9日木曜日

「罪の轍」

コロナの影響もあってか2月あたりから暇だっだのだが、しかしおかげで3月中旬までのフレンズ記念誌制作に没頭することができた。その後コロナ報道が熱を帯び始め、クルーズ船、チャーター機、コロナ日本上陸、感染k拡大蔓延、猛威を振るう、etc...そして今とうとう非常事態宣言とまで来たことはみなさん周知の通り。おそらく今後世界史に残る「大事件」である。

記念誌は未だに来賓OBへの郵送はおろか、フレンズ関係者にすら手渡しされていない。情けないを通り越して、もはや絶望的ですらある。3月配付に向けて必死に頑張って作った努力は報われなかった。少年野球の世界で「努力は君を裏切らない」のは正論であるが、オトナの世界では「努力しても報われない」時もある。不条理である。子どもや青年はいつかその不条理に気づかされてオトナになって行くはずだ。しかし君たちは「努力しても報われない」からと言って「努力しても仕方ない」なんて思わないで欲しい。「努力しても報われないかもしれないが、それでも努力しなきゃいけない」時もあるのも「オトナの世界」だ。「男の世界」はチャールズ・ブロンソンで、「青年よ大志を抱け」はクラーク博士、「青年は荒野を目指す」は五木寛之なんである。

さて、本題。3月に記念誌脱稿し下旬には上梓(いや上梓はまだか)有馬の中心で快哉を叫んでからは、その開放感から貪るように映画を観てきた。少年野球ネタがなくなり、ブログ更新が緩くなったせいもある。ネットのTSUTAYAでDVD借りまくり、Amazonプライムで無料有料新旧取り混ぜて観て来ちゃったわけで。更にふと本が読みたくなった。筆者よく人に言われるのが「Tさんは普段たくさん本を読んでるんでしょうね」。はい、若い頃は確かに。でも50代になって読書ペースが愕然と落ちて今日に至る。好きな作家だけ、しかも空振りが嫌なのでピンポイントでしか読まなくなった。村上春樹だけは例外だけど。

先日どーゆーきっかけかは失念したが、奥田英朗(ひでお)の「罪の轍(わだち)」を購入。奥田英朗は筆者とほぼ同年代の直木賞作家で、昔一度ハマってからはほとんど読み尽くしたけれど、昨年出た「罪の轍」単行本を買ったんである。普段単行本はまず買わない。文庫本専門である。それでも奥田英朗の単行本を定価で買ったのだった。(ブックオフで中古本を探してもなかったから)
奥田英朗の伊良部三部作は笑える傑作でハマり、その後「最悪」「無理」「邪魔」の、どこにでもあるような地方都市の、日常のリアリティーの中に潜む不条理と恐怖を描いた内容は圧巻で、ハッピーエンドとは真逆の結末を迎える三部作である。「罪の轍」は東京オリンピック前回大会の前年1963年に実際起きた「吉展(よしのぶ)ちゃん誘拐殺人事件」に材を得た小説である。筆者はまだ幼稚園児でもちろん記憶にはないが、大人になってからそれとなくは知っていた。今にして思えば吉展ちゃんと、当時の奥田英朗と筆者もほぼ同い年だったことになる。

久々ドスンと読み応えのある小説であった。刑事が犯人を追うのと同時に、筆者も必死で活字を追う。その度に一字一句、文章の塊が喉元を通過して胸にずどんと落ちてくるあの感覚。これは小説好きや文章が好きな人なら理解できるだろう。分厚いページが残り少なくなって来た時のあの寂寞(せきばく)感、最後に本を閉じた時の耽溺(たんでき)した幸福感と達成感も然り。社会派ミステリを確立したのは松本清張だが、これは犯罪ミステリに当時の日本社会情勢の圧倒的リアリティーを散りばめた傑作である。
結末は悲しいけれど、事実を元に書いた小説ゆえ仕方ない。昨晩やっと読み終えたのだった。カバー表紙も琴線に触れるものがあり、見ると当時の本当の写真を借用したものだそうだ。カラーよりもよほど胸に迫るモノクロ写真だった。
微に入り細に渡って書けばまだあるけど、今日はここまで。
やっぱり映画と本はいいなぁ。

....
オマケ。
非常事態宣言である。今朝4/9ゴミ出しに外へ出たついでに鷺沼へ通じるバス通りの往来を撮った。
通常朝の通勤時はクルマや勤め人や子どもの往来がそこそこあり賑やかだけれど、今日はこの状況である。いつもならバスは満員で下手すると乗れないくらいなのに、5分10分おきくらいで行き来するバスはスッカスカで5,6人しか乗ってない。日中のバスを観察すればゼロ、もぬけの殻、カラッポのままゆっくり通過することも珍しくない毎日となった。
先日パリ在住の兄貴とメールする機会があった。それはまたいずれブログにて。下の写真はまるで、ロックダウンのエッフェル塔やシャンゼリゼを彷彿とさせるような絵である。兄貴は今パリは「ゴーストタウン」だと言っていた。
日本はパリやロンドン、NYのようにならないぞと思う反面、今のパリはTVで喧伝されているように、3週間後の東京だとの可能性も大いにある。いや、むしろその可能性が高いかもしれない。
じっと耐えて気長に頑張るしかない。甘いと言われようが、自分を律する精神を持ち、かつ自分だけではなく人のことも思いやる日本人の気質に期待したい。
Stay Home。

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