変なタイトルではある。
小生は駅へ行く通勤にはバスを利用する。通勤じゃない時は歩くようにしているけれど。朝の通勤時間帯のバスはとても混む。時には前扉から乗車できずに後ろの降車扉から乗車することもある。その際は料金が払えないので、終点の駅について、いったん降りてからバス運転者に直に料金を渡すわけだ。飽くまで紳士協定という暗黙の了解というやつ。
先日の話。この日も超満員、運転手のアナウンスで後ろから乗車どうぞとのこと。乗ったのは小生を含めた中年男性3人と同じ中年の女性3人。駅に着いて一番に運転手にパスモを渡し200円を引いてもらう。続いて男性乗客2人が続く。...ん、あとの女性3人はどーした?見ると3人ともナニクワヌ顔をして駅の改札へ立ち去っていった。この確信犯的無賃乗車はもちろん男もやる。この時はたまたま3対3の中年男女だったから、余計に印象が際立ったのかもしれないが、オトナとしていかがなものか。女性の一人などは200円のバス代の1,000倍はするであろう、高そうな毛皮のコート(フェイクかもしれないけど)を身につけていた。
それまで「中年女性」の乗客というコトバは、一瞬にして「中年ババア」に切り替わったのは言うまでもない。
今晩の雪には驚いた。何年ぶりだろうこんな大雪は。神保町を出た時は舗道に1,2センチ積もっていた程度。傘がない小生はマフラーを頭からかぶり駅へと急いだ。駅の1階のエレベーターの横には誰かが忘れたであろうビニール傘が立てかけてあった。持ち主があわてて戻って来るかもしれない。小生は横目で見ながらエレベーターへ。あとから乗り込もうとした別のこれまた中年男性が声をかけてきた。
「傘、お忘れじゃありませんか?」
「あっ、いえ、私のではありません。ありがとうございます」
鷺沼駅へ着いた。乗車時間40分少々。雪の影響で運行が遅れているらしい。こちらではもう10センチくらいの積雪。バス乗り場では長蛇の列をなしていた。またまたマフラーをかぶり列に並ぶ。気がつくとすぐ後ろの方が黙って小生にも傘を半分さしかけてくれていた。
「すみません」
待つこと15分。やっとバスが鈍いチェーンの音を鳴らしながら到着。バス亭の屋根の下に入りマフラーを取る。後ろを振り向き深々と頭を下げた。
「わざわざご親切にありがとうございました。おかげで助かりました」
「いえいえ」
と言いながらにっこり微笑んだその人は、小生と同年代くらいのやはり中年男性だった。
その笑顔を見た瞬間、想い出した。自分もかつて同じシチュエーションで、かつて他人に同じことをしてあげたことを。
中年男性諸氏、世の中捨てたもんじゃないよね。
これで終わりではない。
バスに乗り込んだら、またうしろから肩をたたく人。
今度は同じマンションに住む知り合いの大学教授だった。互いの近況を話し合っているうちに、やっとバスは雪道をのろのろと発車したのだった。
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