2020年3月29日日曜日

大脱走

いやはや、とんでもない局面になった。予想通りの或いは想定外のコロナ情勢を鑑みるに、言いたいことはいっぱいあるし、猫の目のように日々コロコロ変わる日本と世界の状況には、毎日新聞TVネットで注視するも、その情報量と質にいささか疲れてもいる。

記念誌が完成し肩の力が抜けたものの、読み手の手元に届くまでが制作者の最後の責務、必死で早めに配付の手配を画策するも、コロナ情勢に押されて忸怩たる思いを抱え断念、やはり当時予想出来た現在の状況を思えば、計画通り「3密」のないあの日に強行配付すれば良かったと後悔するも、今となってはアフターフェスティバルあとの祭り、おまけに仕事受注も激減、全てがコロナウィルス禍(か)のせいばかりとも言えず、日々粛々と自分の中を時間だけが通り過ぎてゆくんである。

そんな日々、今日はコロナで書きたいことはあれど、あえてコロナは封印したい。
記念誌完成以来、失われた時間を取り戻すように溜まっていた映画を観た。TSUTAYAのDVDはもちろんのこと、これに飽き足らずAmazonプライムで無料の映画も数本。無料ではない199円する「ダブルジョパディー」も。筆者の好きなトミー・リー・ジョーンズ主演。「逃亡者」に対応する「追跡者」まで。

そんなある日読みたい本があって近所のブックオフへ。目当ての本は見つからず、帰りがけ中古映画コーナーを流していると、キラリと目に止まるDVDがあった。そーなんである。スティーブ・マックィーンの映画史に残る名作「大脱走」であった。これはQueens(ヤング)のWatanabeさんと以前映画談義をしたことがある。マックィーンファンだと言うWatanabeさんに対し筆者は「大脱走」ファンであった。当時話は大いに盛り上がったわけで。しかもである。筆者は小学生か中学の頃、この映画は繰り返しTVで何度も観ていたんである。汗臭い男たちの緊張感溢れる脱走劇。バイクで疾走するマックィーンのなんとカッコよかったことか。子供の頃のおぼろな記憶では、チャールズ・ブロンソンの穴掘り、アメリカとイギリスの皮肉溢れる自家製焼酎を飲むシーン、失明寸前の役者、最後に脱走に成功するジェームズ・コバーンやデビッド・マッカラム。デビッド・マッカラムは0011ナポレオンソロのイリヤ・クリヤキン役で名を知っていた。そしてこの映画の圧巻のシーンはもちろんマックィーンのバイクの大ジャンプ、鉄条網を突破出来ず血だらけになって脱走失敗の場面であった。

記憶が溢れるように湧き出て思わず棚に手が伸び、DVDを衝動買いしたんである。その晩じっくりと鑑賞したのは言うまでもない。


3時間一気見しちゃったわけで。子供の頃は気がつかなかった男たちの葛藤や個性、生き様などに改めて気づかされるのが、昔観た映画を大人になってから観ることの一つの楽しみではある。それはいっぱいあった。

翌日はDVDセットになったいわゆる「撮影秘話」や「映像特典」「メイキング」をじっくり観てみる。知らなかったことがいっぱい詰まっていたんである。史実に基づいた映画であったこと。てっきりハリウッドエンタテイメント映画かと子供の頃は思っていたが、第二次大戦下のドイツ軍捕虜収容所での実話だった。多少の演出はあるものの脱走方法や手順などは事実に基づき忠実に再現したらしい。驚いたのは、フランス、イギリス、ロシア、アメリカの捕虜の脱走劇だったが、実際はアメリカ軍の捕虜は途中他の収容所に移送されて、この脱走劇にはいなかったと言う事実。つまり米兵役のマックィーンは脱走していないんである。当時のハリウッドでは興行的に売り上げを上げねばならず、米国で成功するには米兵マックィーンのヒーロー活躍は欠かせないとのことで、物語を作り変えたのだそうだ。これは捏造とかではなく娯楽映画としての「演出」と言うものである。
更にまた、ラストシーンでのあのマックィーンのバイクジャンプシーン。子どもながらマックィーン本人が演じていると信じていたが、あれはスタントマンであった。鉄条網はゴムで出来ており、そのスタントマンやスタッフが撮影現場で一生懸命作ったのだそうだ。筆者、今より若かったならば興ざめしたかもしれないが、今となっては事実を知り得てむしろ楽しく嬉しかったのだった。

これらの映像特典は衝撃だった。当時の本物のドイツのモデルとなったルフト第3空軍捕虜収容所のモノクロ画像がたくさん収蔵されていて、実在の人物画像も満載であった。実際掘られたトンネルの写真もあったのは驚きであった。

いやあ、映画っていいもんですね。(by 水野晴郎)...子供の頃観た映画を大人になってから再見する楽しみは尽きないのである。
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現実に戻る。コロナで閉塞感漂う日本、いっそここから「大脱走」したいと思えど、世界中がこれではじっと留まるしかない。どう立ち向かうのか、人類が試練に立たされている。おそらく後世、世界史にも残るであろうか。
今日土曜、やっと仕事のオファーが来た。新潟の食物販物件。粛々とこなしたい。記念誌は最後に印刷品質にケチがついたり色々あって早期の配付は諦めた。
東京、関東ではとうとう、半ば予想通りの「非常事態」「感染爆発」寸前の今日。折りしも華やかなりし桜も満開を迎える寸前。マイナスとプラスの要素がせめぎ合う、桜に浮かれる気分ではないけれど、心して立ち向かわねばならない。
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