2012年8月24日金曜日

赤の他人と赤い他人

去年神宮球場でカープの試合を観戦した時、ピンチの場面でマエケンこと前田健が6-4-3の内野ゴロのゲッツーを取り、一瞬でチェンジ、見事な投球を見せてくれたことがある。3塁側のカープファンが多いスタンドでは大盛り上がり。筆者は大声で「いいぞ〜!!!マエケン〜!!!サイコ〜!!!」と絶叫したら、5席ほど離れていたカップルのカープTシャツを来た男性がこれをリピート絶叫し、私にハイタッチを求めてきたんである。筆者は隣りの配偶者には見向きもせず、男同士で「イェ〜イ!!」「イェ〜イ!!」
赤の他人であってもココロが通じ合える喜び。

昔から思うのだけれど、どの球場に行ってもアウェイのスタンド(レフトスタンド)のカープファンは凄い。関東のカープファンというのは応援が熱心で有名なんである。これは広島出身者だからというだけではなく、広島出身ではなくとも全国に結構いるんであるカープファンが。もちろん巨人ファンには数では負けるけれど、熱心さでは負けちゃあいない。筆者がカープファンになったのはたまたま一緒になった配偶者が広島だったからもあるけれど、市民に根付いた球団という、他の球団にはない特異なカラーに魅力を感じたからに他ならない。

さて21日。日中あちこち駆けずりまわり所用を終えて夜はやっとマツダスタジアムへ。
ズンズン、ズムズム球場が近づくにつれてファンたちが激増していく。これはどの球場でも見かける光景である。その市街地の舗道のマンホールにはカープ特製のフタがあったりして。市民球団ならではのもの。入口前では人工雪を降らせたスペースで子どもたちが楽しそうにはしゃいでいた。

筆者も念願かなって否が応でもテンションは上がる一方。球場前ではこれまたどこでも見かけるチームグッズ販売のテントが。筆者この日のために真っ赤なポロシャツを着て神奈川から臨んだのであるが、はやる気持ちを押さえられず応援メガホンを購入、更にTシャツも着て応援しようと物色す。どれにしよっかな?1番Maeda...ない。ならもちろん5番のクリケン、栗原健太である。彼は山形生まれの山形育ち。筆者の郷里出身である。カープに入団し4番を打ってきたスラッガーとなれば、当然これしかないわけで。
そのTシャツに手を伸ばしかけた瞬間、隣りの広島のオッサンがそれを手にしたんである。
店の女の子に「5番?これ誰やったん?...ああ、栗原かあ...もうワシ持っとるけん、ちゃうヤツがええなあ。栗原はもうええけん....」
冷たいのも広島ファンの特徴である。カープを離れて巨人にでも行こうものならば手のひら返すように冷たい。配偶者の母が小早川に対してそうだったように。「小早川さんはカープさんを出て行っちゃったけんのう...」昔は負けた日の晩に流川で選手が飲んでいたら、ファンに石を投げられたらしい。「しっかりせんかい!なんしょっとぉ、達川!」なんてね。それだけ市民に愛されてるとも言えるけれど。
栗原は右肘手術で今季絶望らしい(?)。だからこそ彼のTシャツを購入した筆者である。

名物カープうどんを食しキリン生を片手にいざ球場へ。
東京に比べて日が長いのでまだ明るい。いきなりマエケンが本塁打を打たれてしまっていた。ライトスタンドはほぼ80%に対して横浜ベイのレフトスタンドはご覧のとおり。それでも一生懸命応援していた横浜ファン。筆者カープではあるけれど、次に好きな球団は地元である横浜なんである。ちょっとだけ頑張れよと思ってしまった。
正直言おう。筆者ガチガチのカープファンだったのはコージ、ヨシヒコ、衣笠、津田、北別府、大野などがいた頃である。今は当時に比べればそんなんでもないけれど、いまだに体に刷り込まれたDNAが疼く。でもやはりいちカープファンというよりは普通の野球ファンになっちゃったのかなあと思うこともしばしば。だから横浜にも頑張ってほしいなんて思うのだろうか。元カノのことを忘れられない浮気性の情けない男みたいだ。

増してやこのカードはマエケンと浜の番長三浦である。三浦は地元西有馬小学校にも講演にきた選手であり、いわゆる「中年の星」でもあるわけで。

いろんなシートがあって楽しいのがマツダZOOMZOOMスタジアム。本当にファンに楽しんでもらおうと構想されたのがひしひし伝わってくる。この写真以外にも車いす専用シートとかパーティールームとかいっぱいあった。2階の回遊通路では常にファンたちが移動している。自由に回遊出来、どこからでも無料で観戦できちゃうんである。普通の球場の通路は飲食店の壁に阻まれてグランドの試合が観れないのが多いけれど、ここはほぼフルオープンなのだ。

知っている人は知っている。あの甲子園名物阪神ファンの7回裏の風船飛ばしは実は広島が最初にやったということを。いやはや壮観であった。

終盤マエケンに代打を送り、回が変わってマウンドに登ったのは大野...。んなわけない。
球場がざわざわしてる時に、投手コーチの大野が出て来てリリーフ投手の具合をじっと見つめる。大ファンだったので筆者思わず口からついて出て来た言葉。
「リリーフピッチャー!大野〜!投げろ〜!」
絶対受けると思ってメガホンで絶叫したんであるが、周りは反応なし。チョー恥ずかしかったので穴があったら入りたかったが、大人一人入り込めるほどの穴をポッカリ開けているほど日本の建築業者に落ち度はないんである。思わずメガホンで自ら穴を掘ろうかと思ってしまった。
9回広島ビハインドで2アウト。最終打席4番の代打に1番前田智のアナウンス。場内がどっと湧きに湧いた。あのイチローが尊敬する球道者の前田である。今日一番の盛り上がりのような気がする。全員立上がり声援を送る体勢に.....。
結果は残念。負けてしまった。せっかく3位をキープしてるのに、横浜に負けてもあまり悔しくない自分がいた。昔なら違ったろうに。
あれだけ飛ばした風船の残骸は全く見当たらない。おそらくファンがゴミとして持ち帰るようなファン同士の不文律があるに違いない。わずかに1,2個発見。「強者(つわもの)どもが夢のあと」みたいな。日曜朝の公園の草むらに落ちているものに似ていなくもないが...。オトコのあなたならワカリマスネ!?

このあとホテルに直行して寝るにはもったいなく、当然帰路の居酒屋の暖簾を独りでくぐったのは言うまでもない。どこもかしこもカープファンの赤いユニフォームないし、Tシャツの姿で埋まっていた。
「赤の他人」であると同時に「赤い他人」がいっぱい。
でも全然他人のような気がしなかった。自分も赤いKURIHARA.Tシャツだったしね(^^)
希う!栗原復活!とってもいいヤツなんである。
原爆と東日本大震災について語るKONG栗原ブログ↓↓↓
KONG栗健#5

更に追記。
携帯アドレス帳にある人に片っ端から球場の写メをBccで送信。90%の人から返信あり。
誰にもそれに返信してません。皆さんごめん送りっぱなしで。当時は酔っぱらっていたもんで(^^)
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